参加型展示でクロウサギ守れ 交通事故、最多ペース 環境省キャンペーン

2023年09月17日

来場者に「アマミノクロウサギ注意マップ」の作成を呼び掛けるあまくろ=16日、奄美市住用町

アマミノクロウサギ交通事故防止キャンペーン(9月1日~12月31日)に合わせ、奄美市住用町の奄美大島世界遺産センターで16日、野生生物のロードキル(交通事故死)に関する特別展示「みんなで作ろう! アマミノクロウサギ注意マップ(第1弾)」が始まった。来場者が、自身の体験を地図に反映させることでアマミノクロウサギの交通事故減少につなげる初の試み。10月15日まで。

 

環境省が、野生生物保護の普及啓発を目的に毎年、アマミノクロウサギの行動が活発になる秋から冬にかけて実施するキャンペーンの一環。同省によると、2022年の奄美大島と徳之島でのロードキルは前年比181・5%の147件。23年1~8月末では、前年同時期比141・0%の110件となっており、過去最多の昨年数を上回るペースでロードキルが発生しているという。

 

特別展示は、エントランスに設置された地図へ、来場者がアマミノクロウサギを見た場所や交通事故を起こしそうになった場所にシールを貼る参加型形式。危険箇所を可視化させることでドライバーの安全意識を高める狙い。また、ロードキル対策について住民や観光客が自分の意見や考えを示す「教えて! あまくろアンケート」もあり、野生生物保護への関心や理解を深める機会づくりを目指す。

 

家族3人で来館した龍郷町の久保瑠鶴君(3)は「アマミノクロウサギは見たことないけど死ぬのは悲しい」と語り、奄美群島国立公園管理事務所の鈴木真理子専門員(41)は「近年は個体数の回復などにより、住民が使う通勤路や観光客が利用する国道や県道などでも事故が発生している。夜間の運転は速度を落とすなど特に注意してほしい」と呼び掛けた。

 

同日は環境省職員のほか、同省奄美野生生物保護センターのマスコット「あまくろ」らによる啓発チラシの配布イベントも実施された。