奄美・沖縄「予断許さず」 IUCN再調査終了
2019年10月13日
世界自然遺産
【石垣市で山崎みどり】来年夏の世界自然遺産登録を目指す「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」をめぐる国際自然保護連合(IUCN)の専門家による現地調査は12日、全日程が終了した。調査は2017年に続き2回目。石垣市で記者会見した環境省の幹部らは、推薦地の再編など前回示された課題への対応を「十分説明し理解していただいた」と述べた一方、登録実現への手応えについては「前回のことがある。予断を許してはいけない」と表情を引き締めた。
現地調査は5日に始まり、IUCN専門家のウェンディー・アン・ストラーム氏とIUCN世界遺産部門職員のウルリーカ・オーバリ氏が4地域を視察した。
会見で環境省沖縄奄美自然環境事務所の東岡礼治所長が調査の概要を説明した。2氏は各地域で再編された推薦区域を視察。ヤンバルクイナやアマミノクロウサギなどの固有種を観察し、外来種対策や観光管理の取り組みについて説明を受けた。各地域の自然保護、観光関係者との意見交換も行った。
東岡所長は「自然保護に携わる地域の人が登録延期からさらに熱心に活動していることは伝わった」と述べ、登録実現に向けて「外来種や密猟対策を地域一体となって進めることが重要だ」と力を込めた。
登録への手応えについての質問に、同省の植田明浩自然環境計画課長は「2回目の推薦ということで背水の陣で臨んだ。説明は丁寧に心を込めて行った。我々が感じた手応えも予断になるので申し上げない方がいい」と述べるにとどめた。
政府は2017年2月、奄美・沖縄を国連教育科学文化機関(ユネスコ)へ推薦。諮問機関のIUCNが同年10月に現地調査を行い、推薦地の分断など保全上の問題から18年5月に「登録延期」が勧告された。推薦取り下げを経て19年2月に再推薦した。
来年5月ごろに評価報告書がユネスコ世界遺産委員会に提出され、夏ごろに中国で開かれる同委員会で登録可否が決まる。