絶滅危惧種ダイサギソウ10株が盗掘被害 奄美市名瀬

2018年09月25日

ダイサギソウの約10株が根こそぎ盗掘された現場=24日、奄美市名瀬

ダイサギソウの約10株が根こそぎ盗掘された現場=24日、奄美市名瀬

  奄美市名瀬近郊の原野で24日、絶滅の恐れのあるダイサギソウ約10株が根こそぎ盗掘されているのが見つかった。奄美大島5市町村は条例で希少野生植物に指定して採取を禁じており、自然保護関係者は「世界自然遺産登録を目指す奄美の宝。地域の人に守ってもらいたい」と訴えている。

 

 ダイサギソウは国内では千葉県以西、奄美群島では奄美大島と徳之島に分布する地生ラン。日当たりの良い林縁に生え、秋に開花する。純白の美しい花の形がシラサギの飛ぶ姿に似ていることが和名の由来。開発や園芸採取などで減少し、環境省のレッドリストで絶滅危惧ⅠB類に位置付けられている。

 

 奄美大島自然保護協議会パトロール員の山下弘さん(66)が同日、現地を訪れ盗掘されているのを見つけた。21日午後のパトロールでは同種を確認しており、土日の間に被害に遭ったとみられる。

 

 同じ場所では2015年10月にもダイサギソウ約30株が盗掘されている。山下さんは「奄美大島で一番の群生地。許せない行為だ」と憤り、「地域住民にもっと認識を高めてほしい」と保護を呼び掛けた。

 

 奄美・沖縄の世界自然遺産登録を視野に、島内5市町村は2013年10月、希少な動植物の保護を目的に共通の希少野生動植物保護条例を制定。ダイサギソウを含む植物35種と動物22種の捕獲や採取を禁じた。違反した場合は1年以下の懲役か50万円以下の罰金が科せられる。

ダイサギソウ

ダイサギソウ