適正飼養へ意識高める 住民も参加し野良猫調査 「ノネコは人間の責任」 奄美市名瀬朝日町

2023年06月05日

野良猫の調査を行う住民ら=4日、奄美市名瀬朝日町

猫の適正飼育啓発などに取り組む奄美ネコ問題ネットワーク(ACN、久野優子代表)は4日、奄美市名瀬朝日町で野良猫の調査を行った。地域住民や高校生も参加し、屋外にいる猫の数や特徴、発見場所などを記録。これらの情報を基に、野良猫の繁殖制限を目的に不妊・去勢手術を行う奄美市の「TNR」事業を進める。参加した住民からは「昔に比べて野良猫の数が減った。ペットは家の中で飼うという当たり前の意識が浸透してきている」との声が聞かれた。

 

調査は環境省と県、奄美大島5市町村が策定した生態系保全のためのノネコ管理計画に基づき、奄美市が2020年度から進める野良猫モニタリング調査の一環。ACNは19年度から独自の調査を行っており、20年から事業を受託してノネコの発生源にもなっている野良猫の調査に取り組んでいる。

 

4日は地域住民とACNのメンバー、大島高校の生徒ら計41人が参加。8班に分かれて町内を歩き、猫を探した。参加者は朝日町集会所で情報を持ち寄り、猫の模様や、手術の有無、発見場所を地図に記録した。

 

調査で確認された野良猫(提供写真)

TNRで手術を受けた野良猫は印として片耳の先がカットされている。この日確認された猫は6匹で、すべて耳先がカットされていた。来週も同じ地域で調査し、より正確な情報を記録する。

 

TNRの効果を上げるには地域内の野良猫75~90%を手術する必要があるとされ、事業の効率化や実証にはTNR前後の個体調査が重要となる。調査に住民が参加することで、身近な猫問題への理解を深めてもらうのが狙いだ。

 

久野代表は「若い世代は奄美の生態系保全や、猫の適正飼養への意識が高い」と語った。今回の調査には参加した17人の生徒を含め、大島高校の生徒約40人からボランティアの申し込みがあったという。参加した大島高校2年生の大山紬菜さん(16)は「猫が悪いのではなく(適正飼養をしない)人間の責任。屋外でひどい生活をする猫が減ってほしい」と話した。

 

朝日町では2014年ごろからTNR事業が実施されている。参加した住民からは「TNRの効果が出て、地域の野良猫が減った」という意見の一方、「周辺の山中で猫をたくさん見る」との声も聞かれた。自治会の髙司雄二会長(62)は「昔は野良猫の数が多く、ふん尿や鳴き声などのトラブルも多かった。猫に対する住民の意識も変えていかなければいけない」と力を込めた。

 

ACNは今年度、奄美市名瀬の3地域でそれぞれ複数回野良猫調査を行う予定。ACNへの問い合わせは電子メールamaminekobu@gmail.comへ。