クラシックでワイド! 田村緑さんピアノコンサート 徳之島町

2022年05月30日

芸能・文化

観客も振り付けで参加したエルガー体操=28日、徳之島町文化会館

ピアニスト田村緑さんのコンサートが28日、徳之島町文化会館であった。田村さんは、徳之島の自然映像との共演などさまざまな工夫を凝らしたステージを展開。観客が振り付けで参加する曲では闘牛でおなじみのポーズも飛び出す一幕もあり、約200人の観客を楽しませつつ、音楽の持つ表現の豊かさと奥深さを伝えた。

 

田村さんは東京都出身。英国ギルドホール音楽院のピアノ科を主席で卒業した。演奏家としての活動だけでなく、聴き手が音楽を楽しむための普及活動にも取り組んでいる。徳之島でのコンサートは2011年以来11年ぶり。

 

ステージは3部構成。前半の「わくわくクラシック」ではサン・サーンスの「動物の謝肉祭」を題材に、音が表現している動物を当てるクイズや、エルガーの「威風堂々」に振り付けを加えた「みんなでエルガー体操」など、観客参加型のプログラムで楽曲に込められた表現の工夫を分かりやすく伝えた。

 

「ピアノで島唄」の部では舞台全体に徳之島の風景や野生動植物を投影しながら、「ちゅっきゃい節」「ワイド節」などの島唄をメドレーで披露。最後の「ごちそうクラシック」ではベートーベンの「運命」やホルストの「木星」などの難曲をソロで演奏し、優れた技術と表現力で観客を魅了した。

 

母親と共に来場したという坂本莉音奈さん(亀津小3年)は、「田村さんの演奏や表現の壮大さに感動した。最後まで楽しめたし、コンサートが終わった今でもまだドキドキしている。私もあんな風に演奏できるようになりたい」と目を輝かせた。

 

コンサート後に取材に応えた田村さんは「音楽には人と人をつなげる力がある。きょうの演奏が聴いた人の心に残り、明日の元気につなげてくれればうれしい」とステージを振り返り、「11年ぶりだが、島の人の温かさは変わってない。以前は気付かなかった島唄の魅力にも出合えた。次に来島する時は六調に挑戦したい」と笑顔を見せた。

楽曲について解説する田村さん