伝統継承、高校生つなぐ インターンの学生報告 龍郷町

2023年09月15日

芸能・文化

インターンシップの成果について報告する関西学院大の稲城萌恵さん=11日、龍郷町

龍郷町秋名・幾里で耕作放棄地を再生しながら自然農法で米作りを行う奄美稲作保存会(小池弘章代表)のもとにインターンシップ(就業体験)に訪れていた関西学院大学の稲城萌恵さん(19)の報告会が11日、同町浦の飲食店であった。小池代表や町職員など5人が出席。稲城さんはインターンシップを通して体験したことや反省点、得られた成果などを発表し、同保存会のメンバーらのフィードバックを受けた。

 

インターンシップは、同大学が実施するハンズオン・ラーニング・プログラム(HoLP)の一環。「触れる」をキーワードとした学びの様式を身に付け、考える行為そのものを鍛えることを目的とする。滞在前に各種面談で受け入れ先に対する理解や探求を進め、プロジェクト案を練り上げた上で約1カ月間実践的な業務に携わる。

 

稲城さんは8月17日から約1カ月滞在。滞在の4カ月前から、小池代表や、コーディネーターを担った龍郷町地域おこし協力隊の竹内ひとみさん、一般社団法人「E,more(いもーれ)秋名」の村上裕希さんとオンラインで面談を重ね、プロジェクトプランシートを作成。目指すべき企業・地域像や問うべき課題などを想定した。

 

報告会では町内で取り組んだ仕事内容や成果を時系列で発表。同保存会が行った稲刈りや脱穀作業に参加した様子や、「秋名アラセツ行事」の一環のショチョガマ作りに、島内2高校の生徒の参加を呼び掛けた経緯や当日の様子、生徒の声などを紹介した。

 

ショチョガマ作りの参加を呼び掛けたのは、大島高校と大島北高校。大島高校には直接足を運んで生徒の前でプロジェクトの趣旨を説明した。当日は両校から5人の生徒が参加し、作業に従事。伝統継承の大切さを実感する声が挙がったという。

 

稲城さんは滞在期間の反省点を「事前の情報が少なく、企画を立てるのに苦労した」「もっと積極的に保存会の人と関われたらよかった」とし、「高校生に保存会を知ってもらうきっかけを作ることができたことは成果。地域の子どもから高齢者まで多くの人と接する中で、地域に対する住民の熱量が原動力となった」などと振り返った。

 

小池代表は「保存会としては、今後は年間を通した行事の開催など展開していきたい。今回、高校生とのつながりをつくってくれたことでさらに幅広く活動できる」と話した。