紬の伝統技術に触れる 米国から織物ツアー 奄美大島

2024年04月13日

芸能・文化

機織りに挑戦するツアーの参加者=12日、奄美市名瀬

九州の伝統工芸産地を巡る米国のツアーの一行が12日、奄美市名瀬の本場奄美大島紬織元原絹織物仁左エ門工房(原正仁代表取締役)を訪れた。米国などから10人が参加。防染用の綿糸を染色後に部分的に取り除く「目破り」や染料の「すり込み」などの工程を見学したほか、機織りにも挑戦し精密な伝統技術の一端に触れた。

 

織物など世界の伝統工芸の産地巡りを専門とする米国のツアー会社と工芸品などを対象とした旅行を専門とするUNAラボラトリーズ(福岡県)が企画。福岡、大分、奄美を回る12日間のツアーの一環。

 

この日は、伝統工芸士でもある代表の原さん(77)が練習用の織り機を使った機織り体験を指導し、工場長の松永和栄さん(75)が加工工程を説明。防染用の綿糸を絹糸に織り込んだ状態の絣(かすり)むしろを染色後に、目破りやすり込みの工程を経て、一本一本手作業で綿糸と絹糸を完全に分けて、文様を形作る絣糸に仕上げる工程を説明した。

 

米カリフォルニア州のイラストレーターで日系3世のナカニシ・ナディーンさんは「大島紬は柄や文様、手触り何をとっても美しい。現在関わる人が減ったと聞き悲しい。新しい形ででも世の中に広まり、伝統が続いてほしい」と語った。

 

原さんは「海外展開には行政の補助もあるが、現地のエージェントやキーマンの存在が重要。こうしたツアーを通じて人と人のつながりができ、海外でも大島紬が広まれば」と話した。

 

一行は、同日龍郷町の大島紬観光庭園「大島紬村」も訪れた。13日は同町で泥染め体験と、奄美市笠利町の田中一村記念美術館への訪問を予定している。