荘厳な調べで聴衆魅了 総勢170人が出演 復帰70周年記念コンサート 「奄美第九2023」

2023年12月12日

芸能・文化

約170人が出演し、会場を魅了した奄美第九2023=10日、奄美市名瀬

奄美群島日本復帰70周年記念コンサート「奄美第九2023」(同実行委員会主催)が10日、奄美市名瀬の奄美川商ホール(奄美文化センター)で開かれた。地元の奄美オーケストラと合唱団のメンバー、プロの音楽家など総勢約170人が出演。クラシックの荘厳な調べで聴衆を魅了した。

 

ベートーベン作曲の「交響曲第9番」は1~4楽章で構成され、独唱と合唱を伴う最終章は「歓喜の歌」として知られている。日本で第九は年末の風物詩としても親しまれている。

奄美第九は、2013年に復帰60周年を記念して初開催し5回目。全楽章を披露するのは今年が初。会場には約1400人が訪れた。

 

指揮者は東京交響楽団ホルン奏者の阪本正彦さん。ソリストは、奄美二世の木下美穂子さん、十合翔子さん、土崎譲さん、与論町出身の町英和さんらプロの声楽家が務めた。奄美市名瀬出身のバイオリニスト・久保陽子さんも特別出演した。

 

久保さんの特別記念ステージで開幕。「シャコンヌ」と「チゴイネルワイゼン」を演奏し、伸びやかな美しい音色を響かせた。

 

第九は、今回が初披露となった第1楽章で幕開け。第2、第3楽章と続き、会場の熱気は次第に高揚。第4楽章では、公募で集まった小学生から80代までの約100人で構成する合唱団と、ソリストたちの歌声が加わり、迫力に満ちた「歓喜の歌」で、ほぼ満席となった会場を魅了した。

 

アンコールでは奄美オーケストラが「ふるさと」などを情感豊かに演奏し、会場からは大きな拍手が鳴り響いた。

 

指揮者の阪本さんは「第1回から10年かけ、ようやく全楽章を演奏することができた。皆さんが本当に素晴らしい音をくれた」。鑑賞した古仁屋中3年の平田愛乃さん(15)は「奄美で第九の全楽章を聴けたことに感動。とても素晴らしかった」と笑顔で話した。