「ルーツと多様性大切に」 海外で活躍する島の先輩が講演 徳之島町・井之川中

2023年10月12日

子ども・教育

ニューカレドニアについて講話する山田由美子さん=10日、徳之島町

徳之島出身で、現在はニューカレドニアの高校で日本語教師を務めている山田(旧姓武原)由美子さん(64)の講演会が10日、徳之島町立井之川中学校(園田泰浩校長、生徒32人)であった。山田さんは自身の海外での経験を通じて、ルーツに誇りを持つことや違いを認め合うことの大切さを伝えた。

 

山田さんは天城町平土野出身で、1984年にニューカレドニアに赴任。現在は首都ヌメアに住んでいる。

 

講演では、ニューカレドニアをフランス語を公用語とする南太平洋の島国と説明。日系人も多く、さまざまな人種が住む「世界の縮図」と呼ばれていることなどを紹介した。

 

その上で「多民族国家では、どの国の人も母国を世界の中心として物事を考えがちだが、考え方が人種や国でそれぞれ違っていて、さまざまな問題が起きる。仲良く生活するためにはお互いの違いを認め、尊重し合うことが大切」と述べた。

 

また、生徒たちに覚えてほしいこととして▽一つの考え方にとらわれない▽与えられた機会、場所を大切にする▽想像力、発想を大事にする―ことなどを挙げ、「さまざまな人種が共生する社会では、母国の文化をしっかり身につけている人が尊敬される。みんなも徳之島の言葉や文化に誇りを持ってほしい」と強調した。

 

生徒からはニューカレドニアでの仕事を選んだ理由などについて質問があり、山田さんは「大学でフランス語を習っていたので、フランス語圏を選択した。離島で本土とは違う独自性や、自由な雰囲気があるところも徳之島と似ており安心できる」と答えた。

 

2年の上田愛海さんは「年齢の離れた徳之島の先輩が海外で活躍していることに感銘を受けた。私もいつか海外に行ってみたいのできょう教わったことを忘れないようにしたい」と話した。