「差別繰り返さないで」 和光園職員 有川さんが講話 笠利中ハンセン病学習

2022年06月14日

子ども・教育

ハンセン病について講話した有川さん

奄美市笠利町の笠利中学校(久津輪修一校長、生徒37人)は11日、ハンセン病についての学習会を開いた。国立療養所奄美和光園(奄美市名瀬)の医療社会事業専門員・有川清四郎さん(61)が来校し、和光園の成り立ちや入所者の体験談を紹介。「正しい情報を知り、伝えることが大切。差別を繰り返してはならない」と訴えた。

 

学習会は県の「ハンセン病問題を正しく理解する週間」(19~25日)合わせ、生徒らに地元の歴史を知ってもらおうと開催。全校生徒のほか、保護者ら約10人も参加した。

 

ハンセン病は細菌によって起こる慢性の感染症で、発病すると手足などの末梢(まっしょう)神経がまひし、皮膚にさまざまな病的変化が起こることがある。感染力は極めて弱く、1940年代には治療法が確立され、早期発見と適切な治療によって後遺症を残すことなく治すことができるようになった。

 

始めに、同校の野口淑子教諭が▽日本では1907年からハンセン病患者の強制隔離が始まった▽治療できるようになった後も隔離が続いた▽国の誤った政策によって「恐ろしい伝染病」という偏見が強化され、患者や家族が差別に苦しめられた│などと説明した。

 

奄美和光園は国立ハンセン病療養所として1943年に開設され、現在17人が入所している。有川さんは隔離政策によって家族との縁が切れてしまった人や、完治後も病歴を知られることを恐れて不自由な生活を強いられた人など、入所者の体験を紹介。

 

今も新型コロナウイルス感染症で患者や医療者が差別を受けていると指摘し、「ハンセン病では人々の無知が差別を生んだ。今の自分にできることを考え、小さなことから差別をなくして」と語り掛けた。

 

3年生の赤塚結南さん(14)は「ハンセン病については1年生の時から学んできたが、奄美の歴史では知らないこともあった。これからもしっかり勉強していきたい」と話した。

真剣な表情で聞き入る生徒ら=11日、笠利中学校