「第二の故郷」に別れ 地域みらい留学1期生 古仁屋高から7人卒業

2022年03月02日

子ども・教育

古仁屋高校を卒業した地域みらい留学1期生の(前列左から)亘理さん、志摩さん、中谷さん、下笠さん、(後列左から)浦﨑さん、堀川さん、竹元さん=1日、瀬戸内町の同校

本土各地から瀬戸内町の県立古仁屋高校に入学した「地域みらい留学」1期生7人が1日、同級生25人とともに同校を卒業した。豊かな自然に囲まれ、人情味あふれる島民と過ごした3年間は「貴重な経験。あっという間だった」。同級生らと再会を誓い、「第二の故郷」に別れを告げた。

 

「地域みらい留学」は、親元を離れて高校生活を送ることで、主体性や行動力を伸ばす取り組み。島根県の財団法人「地域・教育魅力化プラットフォーム」が2017年に始め、21年度は26道県70校が生徒を募集、約500人が留学した。

 

古仁屋高校は奄美群島唯一の受け入れ校。21年度は1~3年生計20人余りが在学。留学生は全員寮に入り、同世代との共同生活を通じてコミュニケーション能力や協調性も養う。

 

1日に同校を卒業した留学1期生は、出身地別で東京都の竹元龍雅さんと亘理桜美さん、大阪府の中谷遼次郎さんと浦﨑愛翔さん、滋賀県の志摩那波さん、兵庫県の堀川大輝さん、鹿児島県本土の下笠弘喜さん。

 

7人は卒業式後、同級生と各クラスのホームルームに臨み、担任教諭や父母らに感謝を伝えた。別れの寂しさから言葉に詰まり、涙を拭う姿も見られた。

 

志摩さんは、奄美大島が世界自然遺産登録候補地(当時)となったことに魅力を感じて入学。地元の有識者とも積極的に交流した。「大学進学後も奄美で得た経験や知識を生かし、将来は奄美大島や瀬戸内町のために働きたい」。

 

潜水の上級資格を持つ中谷さんは、奄美各地のスポットで泳ぎ、海の豊かな自然を満喫。寮生活についても「毎日お泊り会のようで楽しかった」と話した。

 

竹元さんも奄美の海に魅せられ、入学したが、高校生活一番の思い出は体育祭の応援合戦。「初めての経験で感動した。東京と全然違う環境で過ごし、視野が広がった」という。

 

自立を期した留学も。亘理さんは「自力で人間関係を築きたかった。同級生との何気ない会話が楽しかった」、下笠さんは「会話が苦手で迷惑を掛けたと思うけど、みんな仲良くしてくれた」と振り返った。

 

学級委員長を務めるなど、積極的に活動した堀川さんは「留学前は不安もあったけど、みんな心が温かくて救われた」と感涙。浦﨑さんも涙ながらに「楽しすぎて、あっという間の3年間だった」と語った。

 

「また奄美に来たい」と笑顔を見せ、校舎を後にした7人。2日以降に島を離れ、故郷へ向かう。