奄美の宗教の歴史学ぶ 研究テーマをフィールドワーク 学生4人、教会など巡る 京都精華大

2024年04月14日

子ども・教育

奄美のキリスト教の歴史について語る山田賢三さん(左)とフィールドワークを行う京都精華大学の学生たち=13日、奄美市笠利町

京都精華大学国際文化学部人文学科(京都市)の学生4人が7日から奄美大島でフィールドワークを行っている。半月から一カ月間ほど滞在し、奄美の文化や歴史などそれぞれの研究テーマについて学びを深める。13日は学生のうち3人が奄美市笠利町の山田賢三さん(94)宅を訪れ、奄美のキリスト教の歴史について話を聞いた。

 

山田さんが暮らす笠利地区では、1904年に180人余りが洗礼を受けた。15年に大笠利教会が落成。山田さんが作成した年表は、当時の信徒数を「600人」と記す。

 

教会は放火で2度焼失。戦時中は軍から迫害や弾圧を受けた。少子化や人口減などで信徒数は減少しているが、現在も約40人が定期的に開かれるミサに参加しているという。

 

山田さんや同席した家族らは、学生たちに「クリスマスなど祝い事がある際は信徒ではない人も教会を訪れ、信徒も神社で行われる六月灯に参加したりする」と、地域と教会との関わりを説明。海の彼方にある理想郷「ネリヤカナヤ」の神々が豊穣(★ほうじょう)をもたらすと考える奄美の土着信仰についても、「自然的なもので、よりどころというよりもずっと守っていきたいもの」などと話した。

 

来月中旬まで市内のゲストハウスに滞在しながら、教会やそれにまつわる場所を巡る予定という米窪愛花さん(20)=2年=は「奄美の土着信仰とカトリック信仰の関係に興味があった。二つの宗教という言葉にくくりきれない、島独自の豊かな宗教観を持っていることが実感できた」と話した。