島むに、地理学に理解 島嶼学会に合わせ出前授業 沖永良部高校

2022年10月22日

子ども・教育

日本の島々の可能性や課題を多角的に考える専門家集団「日本島嶼(とうしょ)学会」(可知直毅会長)の2022年次大会が22日、沖永良部島で始まる。開会を前に21日、知名町の県立沖永良部高校(室屋洋一校長、生徒241人)で日本学術振興会特別研究員の横山晶子さん、駒澤大学文学部地理学科の須山聡教授の出前授業があり、横山さんは「沖永良部島の方言である島むににも関心を持ってほしい」と生徒たちへ語り掛けた。

 

島嶼学会の出前講座で消滅言語について語る横山さん(右)=21日、沖永良部高校

出前講座は新たな知見や研究内容などを地域へ還元する取り組みの一環。大会に合わせ、各地の中学・高校や一般向けに開催している。沖永良部高校では普通科の1年生51人が2クラスに分かれて受講した。

 

横山さんは、今何もしなければ近い将来消滅する言語「危機言語」について、世界各地の取り組みを紹介。口語としては一度消滅した「ヘブライ語」や、話者がほとんどいなくなった「ハワイ語」が地元住民の活動により復興した例を挙げ、「沖永良部島の島むにも住民が望んで取り組めば復興できる」と話した。

 

須山教授は「富士は日本一の山~私たちはなぜ富士山を知っているのか?」の題で授業を展開。富士山を例に、象徴的な景観が歴史的にどのように利用され、人々に印象付けられてきたのかを説明。「何でも無批判に受け入れるのではなく、どんな立場の人が何の目的でその景観を扱っているのかを考えることが大切だ」と語った。

 

日本島嶼学会年次大会は22日、知名町フローラル館で開会式とシンポジウムを実施。23日までの2日間、2会場に分かれて研究発表がある。