平和への思いを未来へ 「対馬丸事件」題材の劇発表 久志小中文化祭

2022年10月31日

子ども・教育

児童生徒らが平和への思いを伝えた島口劇「対馬丸よ、ともに未来へ」=30日、宇検村久志

宇検村立久志小中学校(徳永由美子校長、児童生徒21人)の文化祭が30日、同校体育館であった。保護者や地域住民ら約80人が来場。児童生徒たちは島口劇「対馬丸よ、ともに未来へ」を上演し、多くの人が犠牲となった対馬丸事件の記憶を継承することの大切さや、平和への思いを伝えた。

 

対馬丸は太平洋戦争中、学童や一般疎開者などを乗せて沖縄県那覇港を出航し、鹿児島県悪石島沖で米潜水艦に撃沈された。判明しているだけで1400人以上が犠牲になったとされており、宇検村の船越(ふのし)海岸には当時、多くの遺体が流れ着いた。

 

久志小中の児童生徒8人は今年8月、同村で開かれた平和学習交流事業に参加。沖縄県の小中学生と対馬丸事件について学び、同海岸の慰霊碑で犠牲者に黙とうをささげた。

 

劇は同海岸に流れ着いて生き残った対馬丸の乗船者と、救助に当たった同村民の両方の視点から物語が展開。戦後、沖縄と奄美に慰霊碑が建てられたり、現代の子どもたちが対馬丸事件について学んでいたりと、当時の記憶が時代を超えて引き継がれている様子を表現した。

 

児童生徒らは沖縄と奄美の方言を交えながらそれぞれの役を演じ、最後に「私たちが新たな平和の道しるべになる」と決意を表明。迫真の演技に会場からは大きな拍手が鳴り響いた。

 

ナレーターを務めた中学3年の植田心大さん(15)は「対馬丸事件や戦争の悲惨さを忘れてはいけないという思いを伝えられた。皆で平和な毎日をつくっていきたい」と話した。

 

このほか、文化祭では展示作品や合奏、英語スピーチなどで児童生徒らが日頃の学習の成果を発揮した。