本物に触れ、学ぶ 一村美術館の裏側見学 奄美市笠利町

2023年07月31日

子ども・教育

真剣に作品を鑑賞する参加者ら=30日、奄美市笠利町

奄美市笠利町の県奄美パーク・田中一村記念美術館主催の「夏休み親子バックヤードツアー&鑑賞会」が30日、同美術館であった。奄美大島内の親子連れなど31人が参加。館長室や美術品の搬入口など普段は入場できない「美術館の裏側」見学と作品鑑賞を通じて、美術館の役割や奄美にゆかりの深い日本画家、田中一村の美術への思いを学んだ。

 

参加者は案内役の同館学芸専門員、上原直哉さん(45)から美術館が担う四つの役割▽収集・展示▽学術研究▽保存・修復▽教育・普及―の説明を受け、バックヤードツアーへ。学芸員室での業務内容や美術品を運ぶためのクレーン、収蔵庫の作品管理方法などを学び、館長室では館長席での記念撮影も楽しんだ。

 

後半は常設展を見学。「一村さんの本名は田中孝」「栃木県で生まれたんだよ」など、幼少期から東京、千葉時代を経て奄美で過ごした一村の生涯をたどり、各作品の特徴や描かれた背景を学びながら作品を鑑賞した。

 

「田中一村のことを学びたい」と参加した小宿小3年の山田凛さん(8)は、真剣にメモを取りながらツアーに参加。見学を終え「一村さんが奄美生まれではないことを初めて知った。生まれたときから絵の天才で、どんどん上達していったんだなと分かった。(田中一村作品は)細かい筆や色の質感が好き」と笑顔で話した。

 

上原学芸専門員は「奄美には(田中一村作品という)素晴らしい宝物があることを知るとともに、美術館の役割にも興味を持ってほしい。島外に出た際もぜひ『本物』に触れたり鑑賞する経験を」と話した。