沖高エイサー部帰島 総文出場、滞在2週間 JALが臨時便

2023年08月10日

子ども・教育

笑顔で保安検査場に向かう沖永良部高校のエイサー部員=9日、奄美市笠利町の奄美空港

日本エアコミューター(JAC)は9日、8月1日まで奄美市で開催された第47回全国高校総合文化祭(2023かごしま総文)郷土芸能部門に出場した沖永良部高校エイサー部の関係者42人の移動に配慮し、臨時便を運航した。部員らは同日、奄美市笠利町の奄美空港で搭乗時間を今か今かと待ちわび、安堵(あんど)の表情を見せて出発ロビーに向かった。

 

臨時便は、台風6号の影響で欠航が続いていた奄美大島―徳之島、徳之島―沖永良部の乗り継ぎ路線で運航。搭乗したのは部員18人、顧問2人と応援の家族など22人。総文祭関係で奄美大島に来島した約1千人のうち、同校が最後に帰途に就いた団体となった。

 

宮脇慶次顧問によると、同部は1・2年生が7月27日、3年生が28日に奄美大島入りし、同市名瀬のホテルに宿泊していた。8月2日の船で帰る予定が台風の影響で延泊が続いた。

 

結局、約2週間滞在。その間、沖永良部出身者で組織する「奄美沖州会」の紹介などで市内の高齢者施設や保育園で演舞を披露。行政からマンゴーの提供を受けたお礼にと奄美市役所と龍郷町りゅうがく館でも披露した。

 

宮脇顧問は「演舞を披露する場を設けていただき、滞在期間が有意義に。物資の差し入れも多数あり、食料に困ることはなかった。臨時便もありがたい」と感謝し「地域に根付いた伝承芸能なので、周囲に支えられて活動ができていることを部員たちも再確認できたのでは」と語った。

 

副部長で2年生の三島乃々さん(16)は「滞在期間に奄美のことを知ることができ、人の温かさに触れていい機会になった。練習ができなかったので、明日から再開する」と意欲を見せた。

 

長旅終え、安堵 空港で家族、親戚らと再会

 

沖永良部高校エイサー部は日本エアコミューター(JAC)の臨時便で8日午後4時20分ごろ、沖永良部空港に到着。久しぶりに再会した家族や親戚らと笑顔で言葉を交わす姿が見られた。エイサー部の松下夢部長(17)は「やっぱり古里はほっとします」と表情を緩めた。総文祭の応援のため奄美大島に同行していた保護者からも、長旅を終えて安堵(あんど)する声が聞かれた。

 

部員の祖父母ら十数人が空港ロビー前でエイサー部の到着を待ち、姿が見えると拍手で出迎えた。

 

知名町徳時の宮西ケイ子さん(73)は「お帰り。大変だったね」と約2週間ぶりに再会する孫の宮西亜妃さん(15)を、笑顔で抱きしめた。

 

同校1年の亜妃さんは「久しぶりにばあばに会えてうれしい。延泊は大変だったけれど、(引退する)3年生たちと長く過ごすことができて良かった」と話した。

 

奄美大島で11泊したという保護者の新山直樹さん(49)は「2、3日は覚悟していたが、まさかこれほど延泊するとは思わなかった。何とか帰れて良かった。保護者側も大変だったが、子どもたちにとっては良くも悪くも忘れられない経験になったと思う」と語った。

沖永良部空港に到着した沖永良部高校のエイサー部員ら=9日、和泊町