マンゴー需要回復へ期待 野菜少なく、移入待つ声 台風去り、青果市場再開 奄美大島

2023年08月10日

社会・経済 

4日ぶりに営業を再開し、奄美大島産青果の競りが行われた名瀬中央青果=9日、奄美市名瀬

台風6号の影響で休業していた奄美市公設地方卸売市場名瀬中央青果(名瀬長浜町)が9日、営業を再開し、4日ぶりに奄美大島産青果の競りを行った。取扱量は休業前の5日を下回り、平時(台風禍前)の半分近くまで落ち込んだ。マンゴーは船便再開に伴う島外移出を見越してか、仕入れ値が若干上向きとなった一方、保存状態はまちまち。贈答需要の回復による市場活発化が期待される。野菜は持ち込み量が減った種類もあり、台風被害を心配する市場関係者も。島外産の移入再開を待ち望む声が多く聞かれた。

 

9日は午前8時半ごろから競りが始まった。市場に並んだ青果は8日午後以降に持ち込まれた奄美大島産(一部島外産)28品目。買い手は島内で小売りや飲食、移出を営む関係者20人余り。朝の市場には威勢のいい掛け声が響いた。

 

取扱量が特に多く、競りが長く続いたのはアップルマンゴー。今月は船便欠航に伴い、島内消費に合わせた1箱数百円~1千円台の低価格帯で連日推移してきたが、この日は先月31日以来となる2千円台(高値)で買い手が付くなど回復の兆しを見せた。

 

一方、収穫後の保存が長引いたとみられる完熟の果実も多く、買い手側からは「売り物としてはギリギリの状態」「贈答用には使えない」と厳しい声も。船便再開で贈答需要は回復すると予想され、市場関係者は群島内他島産商品も含めた流通の活発化を期待する。

 

野菜は種類ごとに持ち込み量が大きく分かれた。日持ちするトウガンやキュウリ、ニガウリ、下処理したゆがきタケノコなどは比較的安定して入荷。対して、風に弱いとされる果菜類のピーマンが激減し、ナスは持ち込みがなかった。「台風による農業被害が広がっていなければいいが」と心配する声も聞かれた。

 

競りを終えた買い手側の多くは「本土からの船を待つしかない」とため息をついた。幅広く買い上げた小売店の仕入れ担当者は「奄美大島は(群島内)他島と比べて人口に対する農家が少ない。これも根本的な課題だと思う」と語った。