生徒12組が考察成果発表 防災や産業振興など各分野 群島内県立4高校 奄美市

2023年03月15日

子ども・教育

群島4高校の生徒12組が1年間の考察成果を報告した課題探究発表会=10日、奄美市名瀬

奄美市名瀬の県立大島高校(黒木哲二校長、生徒665人)は10日、2022年度課題探究発表会を開いた。同校のほか、奄美群島内県立3高校の1~3年生12組が登壇。防災や産業振興など各分野の課題について約1年間かけて考察した解決策を発表した。

 

大島高校では19年度から総合的な探究の時間を導入している。探究学習に取り組む他校の生徒を招待し、発表会を実施するのは初めて。

 

同日は午前中に大島高校1、2年生による校内向けの発表会を実施。午後から行われた代表発表では、同校2年生のほか、大島北、古仁屋、与論の3校の生徒も登壇した。

 

大島高校の濱田健渡さんは、アマミノクロウサギによる農作物被害軽減をテーマに発表した。タンカン農家が実践する防護柵設置などの取り組みを紹介し、「自然との共生を目指すため乗り越えなくてはいけない課題であり、長期的な対策が求められる。奄美の住民の理解も必要」などと訴えた。

 

与論高校の有村一花さんの発表テーマは、「高齢者が津波から逃げ遅れない地域づくり」。薬や眼鏡など災害発生後の避難生活時に必要な物を詰め込んだ「いだいだ(与論島の方言で急げ急げ)ポーチ」の活用事例を示し、「避難時の時間短縮や忘れ物を防止することができ、準備する過程で防災意識を高めることにもつながる」と強調した。

 

登壇者はこのほか、本場奄美大島紬の伝承や海岸漂着ごみの低減、離島留学活用による地域活性化、バリアフリー化の推進などをテーマに発表した。

 

指導助言を行った大学教授ら4氏は「独自性が高く、自分の目で見た生の考えがまとめられていた」「テーマを深め、大人に刺激を与える考察をこれからもしてほしい」などと講評した。