新型コロナ、「5類」へ5月移行 制約緩和も警戒持続必要

2023年03月15日

社会・経済 

クラスター(感染者集団)発生時などに県が実施していた記者説明。5月8日以降は毎日行っていた感染者情報の発表も終了する見通しだ=2022年7月20日、鹿児島市の県政記者クラブ

新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが、5月8日から季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行する。3密の回避、飲食店への営業時間短縮要請、行動制限-。社会経済活動において多くの制約があったコロナ禍から大きな転換期を迎えることになる。コロナ後の社会で私たちの暮らしはどう変わるのか。県内の感染状況と、位置付け変更後の県などの対応を整理する。

 

■感染者数は減少

 

鹿児島県内では2020年3月に新型コロナの感染者が初めて確認された。県の統計によると、月別感染者数は21年11月に2人にまで減ったがその後急増。22年8月が感染のピークで11万1910人に上った。今年に入ってからは1月が6万518人、2月が1万571人となっている。奄美医療圏(奄美12市町村)の感染者は減少傾向で、2月28日には1年2カ月ぶりにゼロとなった。

 

■死亡は800人超

 

県内のコロナ感染者の死亡事例(2月28日現在)は累計868人。年齢別では90歳以上が334人で最多。80代319人、70代130人で、70歳以上が全体の9割を占める。このほか60代52人、50代18人、40代10人、20代2人、10歳未満と10代、30代が各1人。コロナが直接の死因だったのは439人(50・6%)、高血圧や心疾患など基礎疾患があった人は850人(97・9%)だった。

 

■インフル並みに

 

「5類」への引き下げで医療提供体制や国、県の対応などが変わる。国の方針によると、無料だった医療費は原則自己負担とし、外来での患者負担は季節性インフルエンザと同程度になる。高額なコロナ治療薬は9月末までの経過措置として公費で負担する。入院についてはコロナ病床の位置付けが無くなり、国内の全病院で対応できるよう段階的に移行していく。入院調整も行政の関与から個々の医療機関の間で行うよう段階的に進める。感染者数の把握については各医療機関での発生届が終了し、定点医療機関での把握に移る。このため、県新型コロナウイルス感染症感染防止対策課が毎日行う県内の感染状況に関する発表も終了する見通し。

 

ワクチン接種は自己負担なしで実施予定とし、重症化リスクが高い人を対象に年2回、すべての年代で年1回接種する計画。コロナの水際対策は、検疫感染症から除外されるため一般的な疾病と同じ扱いとする。PCRなどの無料検査事業は終了し、飲食店の第三者認証制度やイベントの開催制限も廃止される。行動自粛要請なども感染症法上の対象分類外となり、適用されない。

 

■対策継続を

 

マスク着用は今月13日から個人の判断となったが、国が例示する▽医療機関を受診する時▽医療機関や高齢者施設などを訪問する時▽通勤ラッシュ時など混雑した電車やバスに乗る時―といった場面では着用を推奨。医療機関や高齢者施設では感染拡大防止対策を継続しつつ、行政側は面会ができるような対策を施設側に要請する。

 

コロナ禍4年目。収束に向かっているとは言え、感染力の強い新たな変異株やウイルスが出現する可能性は否定できない。これまで感染の再拡大を何度も経験してきた。今後も警戒感を持ち続け、手洗いや換気など基本的な感染防止対策を徹底していく必要がある。