考古学の最前線に触れる コウモリイョー遺跡を見学 天城町西阿木名

2024年03月15日

子ども・教育

山の中腹に入り口があるコウモリイョー=14日、天城町西阿木名

天城町社会教育課と東北大学が中心となって調査を進めている縄文中期の遺跡「コウモリイョー」の見学会が14日、同町西阿木名にある同遺跡であった。西阿木名中学校の1、2年生7人が遺跡を訪問し調査の目的などを学んだほか、掘り出した土砂から遺物を探す作業にも挑戦して考古学研究の最前線に触れた。

 

イョーは方言で「横穴」の意味。同遺跡は西阿木名集落の下原(したばる)地区にあり、約1万7千年前のものとみられる炉の跡や国の特別天然記念物アマミノクロウサギの骨などが見つかった下原

遺跡について生徒らに説明する東北大学の佐野勝弘教授(左)=14日、天城町西阿木名

遺跡と同年代の遺跡とみられる。

 

コウモリイョーの調査は2022年に始まり、毎年この時期に現地調査が行われている。今年は東北大の佐野勝弘教授(47)と文学研究科の学生13人が来島し、今月2日から18日まで行う予定。

 

佐野教授は同遺跡で発掘された遺物として約4500年前の炉の跡や埋葬されていた人骨、副葬品とみられる貝のビーズなどを紹介。さらに古い時代の遺物が見つかる可能性にも触れ、「もし旧石器と同時代の人骨が見つかれば国内で初。私たち日本人のルーツを探る手掛かりになる」と遺跡の重要性を強調した。

 

生徒たちは遺跡から掘り出した土をふるいにかけて遺物を探す作業にも挑戦した。井上恭仁君(2年)は「土の中からカニの爪や貝殻を見つけることができた。発掘調査は地道で根気のいる作業が多いけど、少しずつ昔の事を明らかにしていく過程に考古学のロマンを感じた」と話した。