投票補助具を手作り 視覚障がい者の要望に応え 提案者、有権者から感謝の声 知名町選管事務局

2023年04月14日

政治・行政

補助具を使った投票の様子を再現する島ミノエさん(手前)と沖永良部視覚障がい者福祉協会の清村明仁さん=12日、知名町

【沖永良部総局】知名町選挙管理委員会事務局は、視覚障がい者など自分で投票用紙に記入することが難しい人のため、枠からはみ出さないように候補者名を記入できる補助具を作成した。9日に投開票があった県議会議員選挙では期日前投票所と、投票日当日の町内5投票所に準備し、必要とする数人が利用した。

 

補助具は沖永良部視覚障がい者福祉協会から提案を受け、選管事務局職員が厚紙で手作りした。投票用紙と同サイズで、二つ折りにして間に投票用紙を挟むと、切り取られた厚紙の枠が投票用紙の候補者名枠と重なり、記入することができる。

 

町選管や同協会によると、選挙では視覚障がい者のための点字による投票や、障がいで字の書けない人などのために、代わって他の人に投票用紙の記入を行ってもらう代理投票が認められているが、中途視覚障がい者の多くは点字を使うことができない。代理投票は、他人に自分が投票した人を知られたくなくてためらう人がいるという。

知名町選挙管理委員会事務局が作成した投票補助具

 

視覚障がい者がはがきを記入する際に使用する既存のプラスチックシート枠を参考に、厚紙で見本を作って提案した同協会の清村明仁さん(67)は「提案をすぐに受け入れ、取り組んでくれたことに感謝したい。このような取り組みを全国に広め、私と同じように困っている人の役に立てれば」と話した。

 

9日、実際に補助具を使って投票した島ミノエさん(64)=同町=は「事前に見本の補助具で練習すると、漢字は難しかったが、平仮名で書くことができた。選挙当日、投票所では投票用紙の裏表が分からなくて困っていると、選管スタッフが補助具に投票用紙を挟んでくれ、書くことができた。病気で視力が落ちたここ数年は投票を控えていたが、今回自分で投票できたことがうれしかった」と充実した笑顔で話した。

 

選管事務局では今後の選挙時もこの補助具を投票所に準備しておく予定で、必要な人はスタッフに声を掛けてほしいと呼び掛けている。