「交付金事業の拡充を」 奄振延長に向け意見交換会

2022年05月25日

政治・行政

奄振法の延長に向け、総合調査の一環で行われた、県と12市町村長、地元議員らとの意見交換会=24日、奄美市名瀬

2023年度末で期限切れを迎える奄美群島振興開発特別措置法(奄振法)の延長に向けた取り組みとして県は24日、奄美市名瀬の市民交流センターで群島内12市町村の首長や議長、地元選出の県議との意見交換会を開いた。出席者からは、奄美群島振興交付金を活用した事業の拡充による沖縄との連携強化や、定住促進、教育・文化の振興、デジタル化の推進に関する事業などへの奄振事業活用を求める意見があった。

 

県は、奄美群島の今後の振興開発の方向と方策を明らかにするため、群島の社会・経済の現状、課題と奄振事業の成果などを総合的に調査している。

 

意見交換会も調査の一環。今回は、奄振交付金を活用している農林水産物輸送コスト支援事業と航空・航路運賃軽減事業について、県本土だけでなく沖縄への輸送・移動の際も適用されるよう事業の拡充を求める意見があった。

 

与論町の山元宗町長は「沖永良部や与論は、沖縄との交流も非常に盛ん。ぜひ沖縄への農水産物の輸送状況や、治療などで行く住民の数、沖縄経由で来島する観光客数なども調査し、それを踏まえて検討してほしい」と求めた。

 

定住促進では「空き家の利活用」、教育・文化の振興では「学習塾や、ICT教育に対する支援」、「伝統産業・文化の保全に関する支援」事業の創設などを求める声があった。

 

高岡秀規徳之島町長は「子どもたちがしっかりした教育環境の下で育つことが、将来のUターンにもつながる。『教育及び文化振興に資する事業』というのを、奄振の文言に入れるよう県の方から国へ訴えてほしい」などと要望した。

 

デジタル化の推進について、安田壮平奄美市長は「奄美群島でのデジタル化の推進を後押ししていくことが、さまざまな地理的不利性を解消していく大きな柱になる」と訴えた。

 

県は、今月17日から群島各地で各種団体の意向調査を実施。今回の意見交換会や、住民アンケートの結果なども踏まえ、今年度末をめどに国へ提出する報告書をまとめる。