「特別措置必要」8割超え 課題に人口減、少子高齢化 県奄振アンケート

2022年11月16日

政治・行政

 【鹿児島総局】2023年度末で期限切れとなる奄美群島振興開発特別措置法(奄振法)の延長に向け総合調査を行う県は15日までに、奄美在住者や出身者らを対象に実施したアンケートの結果を公表した。特別措置の必要性については在住者の82・1%、出身者の85・7%が「今後も必要」と回答し、ともに8割を超えた。島のイメージが10年前と比べ良くなったとする意見は、在住者で59・0%、出身者で57・9%にとどまった。今後の課題では「人口の減少」を挙げる意見が最も多く、「少子・高齢化の進行」が続いた。

 

アンケート調査は無作為に抽出した18歳以上の奄美群島在住者と出身者、群島内の高校9校と専門学校2校の生徒・学生、事業所ほか、各島宿泊施設を利用した来島者合わせて6356人が対象。3136人から回収した(回収率49・3%)。紙形式と併用して今回はウェブアンケート形式を導入。17年度の前回調査から各対象区分で質問項目を削減し調査内容も整理した。

 

奄振事業に対する在住者の満足度では、14年度に新たに創設された奄美群島振興交付金を活用して助成する航路・航空路運賃の軽減について満足度が高い一方、物価の軽減に関しては満足度が低かった。島の魅力では、在住者、出身者、高校生・専門学校生いずれも「豊かな自然に恵まれていること」とする意見が最も多かった。

 

今後の定住・帰島意向では、在住者の79・6%が「島内に住み続けたい」と回答し、出身者の63・5%、高校生・専門学校生の57・3%が「群島内で暮らしたい」と答えた。島で暮らしていくために必要なことでは、在住者、高校生・専門学生ともに「労働条件(給与・福利厚生など)の良い仕事があること」とする意見が最多。今後力を入れるべき産業については、在住者では「亜熱帯気候を生かした園芸農業(花・果樹・野菜)」、出身者、高校生・専門学生、事業所では「観光関連産業」とする回答が最も多かった。

 

群島が果たす役割では、在住者、出身者とも「貴重な動植物など豊かな自然環境の保全」とする意見が最多で、「多様で個性的な伝統文化の継承」が続いた。このほか、来訪意向では回答者の95・7%が再度奄美を訪れることを希望した。

 

アンケート調査結果の詳細は県ホームページに掲載している。