予約なし車両に「対策必要」 三太郎線、利用状況報告会 奄美市住用町

2022年12月19日

政治・行政

三太郎線の利用の在り方について意見交換する参加者=18日、奄美市住用町

夜間に野生生物を観察するナイトツアーの増加に伴い、昨年10月に車両規制が導入された奄美市住用町の市道三太郎線周辺の利用状況に関する住民向けの報告会が18日、同町の住用公民館であった。環境省は予約制や1時間に4台とする台数制限の導入で、「混雑が緩和され、(利用者の)満足度が向上した」と手応えを示した。一方、予約をせずに通行を繰り返すルール違反の車両がみられるとして、「対策が必要」と強調した。

 

三太郎線周辺はアマミノクロウサギなど希少な生き物が多いナイトツアーの人気スポット。車両規制は世界自然遺産登録に伴う来訪者の増加を見据えて、希少動物のロードキル(交通事故死)や車の追い越しをめぐるトラブルが増えるのを防ぐため、官民の関係機関でつくる夜間利用適正化連絡会議が試行的に導入した。

 

報告によると、今年10月までの1年間に三太郎線を利用した車両は3833台。月別では、前月の世界自然遺産登録を受けてこれまでで最多だった昨年8月の831台から、規制開始後の今年8月は436台と半数程度にとどまった。規制後は3月が461台で最も多く、500台を超えた月はなかった。

 

予約をしないで通行した車両は472台で全体の12・3%。利用者同士のトラブルにつながる恐れがあり、監視や規制の強化を求める意見もあるとして、違反を繰り返す車両への対策と、島外から訪れる観光客などへの周知を課題に挙げた。

 

地域住民や観光ガイドの要望を受けて、検討が進む住用町民限定の「地元枠」の設定や、多人数のグループに対応するため、同じ時間帯に2台まで同時に通行できるようにする新ルールについて、年末年始の12月27日から1月9日までの14日間、9月に続き2回目の実証実験を行う。

 

9月の実験は台風の影響で利用者が少なかった。来年2月に再実験の報告会を開き、3月の連絡会議で新ルールを導入するかどうかを協議する。

 

報告会には住民やガイドら14人が参加。3班に分かれて三太郎線の利用の在り方について話し合い、「車両のスピードや動物の観察方法などについて(利用者の)講習を必須にしてほしい」「出入口に監視員を配置して」などの要望があった。ウェブサイトから予約が必要なシステムに「スマホで予約の仕方が分からない。電話では受け付けてもらえない」という声もあった。