サンゴ微減も回復続く 大島海峡でリーフチェック 瀬戸内町海を守る会

2022年12月19日

自然・気象

大島海峡で行われたリーフチェック=7日、瀬戸内町加計呂麻島の安脚場沖(興克樹さん撮影)

地元ダイビング事業者らで組織する瀬戸内町海を守る会(祝隆之会長)は7日、奄美大島南部の大島海峡内でサンゴ礁の健康度を調査するリーフチェックを行った。海底がサンゴで覆われている割合を示すサンゴ被度は、浅場の水深5㍍地点、深場の同10㍍地点とも2年連続で前年をやや下回ったが、ともに50%以上を維持し、回復傾向が続いているという。

 

調査地点は瀬戸内町加計呂麻島の安脚場沖約200㍍に広がる礁斜面。同会会員と専門家ら11人が参加し、サンゴ被度と魚類、無脊椎動物の数などの潜水調査を実施。海底でサンゴに絡まった漁網の回収作業も行った。

 

サンゴ被度は、水深5㍍地点で60・6%と前年比5・7減。水深10㍍地点で51・9%と前年を3・8下回った。新たに定着するサンゴは少ない状態が続いているものの、夏季の海水温の上昇による白化現象や、オニヒトデの食害はみられなかった。

 

安脚場の調査は2001年に始まり22年連続。奄美大島南部の海域では01年から05年にかけてオニヒトデの大量発生による食害でサンゴは壊滅的なダメージを受けた。調査地点は02年にサンゴ保全海域に設定され、オニヒトデの駆除活動を展開してサンゴ群落を保護してきた。

 

調査に参加した奄美海洋生物研究会の興克樹会長は「大型のミドリイシ群体が生存しており、産卵して幼生の供給源となる。優れた海中景観はダイビングやシュノーケリングなど観光資源としても重要」と強調し、「22年間サンゴが守られてきたのは、サンゴ礁保全の成功例といえる」と評価した。

 

守る会はダイビング船やシュノーケリングツアーのボート用の係留ブイを設置して、停泊時にいかりを下ろすことでサンゴが破損されるのを防いでいる。祝会長は「観光客向けのダイビングやシュノーケリングを地元の子どもたちにも体験してもらいたい。事業者が協力して海を守るための啓発活動に取り組む」と話した。