事業計画見直し 再エネの新たな実証へ MG導入地区も再検討 ゼロカーボンおきのえらぶ推進協

2023年03月02日

政治・行政

事業計画見直しなどの報告があったゼロカーボンおきのえらぶ推進協議会第2回会合=2月27日、和泊町

【沖永良部総局】ゼロカーボンおきのえらぶ推進協議会(会長・今井力夫知名町長)の第2回会合が2月27日、和泊町役場結いホールであり、事務局が事業計画の見直しを報告した。当初想定していた配電線ライセンスの取得と既存電力会社からの電力の卸売り供給・小売り事業ができないことが判明し、再生可能エネルギー(再エネ)利用のため、各公共施設に電力融通を実現できるDGR(デジタルグリッドルーター)と太陽光発電装置を設置する計画へ変更。2023年度内完成予定の知名町新庁舎エリアでエネルギーを地産地消する仕組み「マイクログリッド(MG)」を構築し、DGRの実証を進めるとした。MG構築を計画していた和泊町国頭、知名町久志検両地区はDGR設置に適した電力需要が見込めないことなどから、導入地区変更を前提に最適地を再検討する。

 

再エネ導入に向けては既存電力会社との協議で、▽内燃力発電所が運転を継続するためには一定値以上の発電出力を維持しなければならないことから発生する「下げ代制約」があり、内燃力発電所の発電能力と連携して再エネ発電量を調整し、島全体の需要量と常に一致させる機能が必要▽新地域エネルギー会社が一般送配電事業者から電力の卸売りを受ける場合、本土・離島の顧客が負担する離島ユニバーサルサービス料金を含めた単価となるため、特定の事業者に利益を受ける形は同サービスの趣旨にそぐわない│との課題を共有。

 

解決策として、各施設の電気受電設備の背後に、DGRと太陽光発電を設置。施設内の自家消費用に活用した上で、既存電力会社側の発電所と連動し、売電が可能な場合は逆潮流により、電気を提供する。停電時はMGエリア内の同一系統内に対し、電力を供給することも可能とした。

 

DGRと同機器を統合するEMS(電力管理装置)の管理を担うことになる新地域エネルギー会社の運営主体などについては今後の検討課題とした。

 

このほか、EV(電気自動車)の導入計画、太陽光発電装置の設置可能な施設調査、若年層を対象とした脱炭素実現に向けた構想づくりなどについて報告があった。

 

学識経験者として参加した知名町在住の石田秀輝東北大学名誉教授は「一般の家庭がどうなるのかなど、全体構想があれば町民にも分かりやすいのでは。抽象的ではなく具体的な案として、ごみの資源化、自然の回復などハードルは低いが、効果があることは検討材料として置いておくべき」などと意見を述べた。

 

協議会は、和泊、知名両町が環境省の「脱炭素先行地域」に選定されたことを受け、離島モデルとなる脱炭素社会の実現を目指す推進組織として22年10月に発足。この日はリモート参加も含め、和泊、知名両町、県、環境省、共同提案者の各法人、事業支援民間企業、有識者など44人が参加した。来年度も年2回の会合を予定。