偵察ボートで100人が上陸 アイアン・フィスト2日目 沖永良部島

2024年03月12日

政治・行政

砂浜に上陸し、一斉に展開する日米の隊員ら=11日、和泊町の笠石海岸

陸上自衛隊と米海兵隊による日米共同訓練「アイアン・フィスト(IF)24」は11日、沖永良部島で2日目の訓練を行った。陸自水陸機動団(長崎、相浦駐屯地)と米海兵隊による共同訓練で、10日の「空から」に続く「海から」の上陸作戦。日米の隊員ら計100人が、沖合に展開した偵察ボート計13艇で和泊町の笠石海岸に上陸し、目的地を確保するまでの一連の流れを実践した。訓練後は日米の司令官が和泊、知名の両町長を表敬訪問。米輸送ヘリや陸自車両、偵察用ボートの展示も行われ、多くの住民が見学に訪れた。

 

訓練では、海上自衛隊の輸送艦「くにさき」と米海軍ドック型輸送揚陸艦「グリーンベイ」を出発した偵察ボートが、まだ薄暗い午前6時半ごろ、沖永良部島の沖合に展開。主力部隊の上陸に先行し、ボートで沿岸に近づき泳いで上陸して敵配置や地形を確認する「遊泳斥候員」が砂浜へ。午前7時半ごろ、偵察ボートがスピードを上げながら次々と砂浜に到着し、顔に深緑色や茶色の迷彩塗装を施した隊員らが軽火器などを手に上陸した。

訓練は住民に公開され、見学に訪れた人や散歩中に立ち寄った人が真剣な表情で見詰めていた。

砂浜に接近する偵察ボート=11日、和泊町の笠石海岸

 

訓練後、同海岸の公園では陸自車両や偵察ボートを展示。知名町大山総合グラウンドには10日の訓練で飛来した米輸送ヘリが再び着陸し、一般公開を行った。同機には陸自水陸機動団の辻一第2水陸機動連隊長と米海兵隊第31海兵遠征部隊のマシュー・ダナー隊長が同乗。前登志朗和泊町長、今井力夫知名町長を表敬訪問した。

 

両町長は、南海日日新聞の取材に「今の国際情勢を考えれば訓練は必要」と述べ、共に協力する考えを示した。今井町長は「今回の訓練は抑止力に加え『危機意識をどう持つか』に一石を投じたのでは。疑問に思っていることがあれば(訓練を)その目で見て知ってほしい」と語った。前町長は「防災への備えも欠かせない。訓練が島の災害支援の役に立てばありがたい。今後のわれわれの防災訓練への協力などもお願いしたいと(日米司令官へ)伝えた」と話した。

 

沖永良部島での訓練は11日で終了。IF24は沖縄本島の米軍演習場などで17日まで行われる。