奄振法延長へ意向調査開始

2022年05月19日

政治・行政

奄美群島振興開発総合調査の一環で行われた各種団体意向調査=18日、瀬戸内町

県は2023年度末に期限を迎える奄美群島振興開発特別措置法(奄振法)の延長に向けた総合調査の一環で18日、瀬戸内町の県大島支庁瀬戸内事務所で各種団体への意向調査を行った。同町と宇検村の関係団体代表者がそれぞれの取り組みを紹介し、抱える課題や振興発展に必要な措置も示した。少子高齢化や新型コロナウイルスの影響に対する懸念も相次いだ。

 

瀬戸内会場には2町村の観光、農業、水産、商工、教育などの関係団体代表各10人が出席した。

 

加計呂麻島の農家は、島内の農産物や加工品が出荷される「いっちゃむん市場」の現状について、「生産者の高齢化や新型コロナによる一時閉鎖などで農家の市場離れがあり、先行きが不安」と説明。農業振興策として、通年生産が可能なサツマイモの島外出荷を阻む病害虫アリモドキゾウムシの早期根絶の必要性を訴えた。

 

商工会代表者は新型コロナ禍による経営相談が増え、新規会員数が増加したことを紹介。一方、会員が高齢化する中で事業承継が進まない実情を示し「このままでは空き店舗が増え、5~10年後が心配。次世代に事業が引き継げるよう、助成制度の創設を」などと述べた。

 

観光業代表者は新型コロナの影響で落ち込んでいた観光客からの問い合わせが、回復傾向にある現状を説明。観光の課題として、通行規制が多い道路事情の改善や既存の公衆トイレの改修などを挙げた。

 

このほか、世界自然遺産登録された沖縄との交流を念頭にした奄美―沖縄の航空・航路運賃助成の拡充、農林水産物輸送コスト支援事業の継続、ドローンを活用した農作物輸送などの要望もあった。

 

総合調査では、団体意向調査や住民アンケート、奄美群島12市町村との意見交換などを行い、今年度末をめどに国へ提出する報告書を作成する。

 

団体意向調査は17日、喜界町と与論町を皮切りにスタート。19日に和泊町と知名町、20日は奄美市、大和村、龍郷町、27日は天城町、伊仙町、徳之島町を対象に聞き取りを行う。