クロウサギの子育て確認 農家の松下さん、温かく見守る 徳之島町母間

2022年05月19日

定点カメラで撮影したアマミノクロウサギの親子=4月23日、徳之島町母間(同町提供)

徳之島町母間で農業を営む松下清志郎さん(59)のタンカン畑近くで親子とみられる国の特別天然記念物アマミノクロウサギ2匹が確認された。いずれも俗に「シロタビ(白足袋)」といわれる後ろ脚の一部が白い個体。タンカンの幹をかじって時には害獣扱いもされるクロウサギだが、松下さんは「安心して子育てしてほしい」と見守っている。

 

松下さんがクロウサギに気付いたのは3年ほど前。穴を掘った跡やふんが落ちていることから、近くにいることは分かっていたという。昨秋、町に情報提供したところ、町が巣穴のそばに定点カメラを設置。当初は成獣2匹が確認され、その後は1匹だけになったが、4月には幼獣が確認されるようになった。

 

松下さんの畑は住宅地から1キロほど離れた山中にあり、タンカンのほかにビワなど主に果樹を育てている。食害対策としてネコよけに用いられる剣山状のシートで幹を保護したところ効果があり、今のところ食害は避けられているという。

 

撮影された映像では、子ウサギが植物の葉を食べる様子や親子そろった姿も確認できる。仲むつまじい子育ての様子を見た松下さんは「世界自然遺産になり、農業と野生動植物の保護の両立が課題になっている。難しい問題だが対策を取りながら長い目で見守りたい」と笑顔を見せた。