奄振2・6%増の205億円 交付金は前年並み維持 政府24年度予算案

2023年12月23日

政治・行政

 【東京支社】政府は22日、2024年度予算案を閣議決定した。奄美群島振興開発事業関係(国土交通省一括計上分)は公共、非公共合わせて前年度当初比2・6%(5億2500万円)増の205億6400万円。うち非公共で各種ソフト事業に充てることができる奄美群島振興交付金は前年度と同額の23億7400万円を維持した。

 

奄振予算の公共事業分は前年度当初比約3%増の181億8400万円。増額について国交省は「各事業の進捗(しんちょく)状況や地元からいただいた要望を反映した結果」とした。

 

計上予算では、港湾整備に前年度比2千万円増の16億800万円を盛り込んだ。名瀬港と和泊港の岸壁、防波堤の整備などを継続する。空港は奄美、徳之島、与論などの空港で無線施設やRESA(滑走路端安全区域)の整備などを行う。空港の予算額は7700万円となっているが、別財源から9億3600万円を確保する予定で、総額は10億1300万円を見込む。

 

道路や橋、トンネルを長寿命化するための補修は、前年度並みの4億600万円を計上。道路環境では和泊、与論両町で県道無電柱化を継続し、通学路の安全確保のため龍郷町で交差点改良を実施する。

 

水道廃棄物処理では、瀬戸内町、宇検村、天城町で簡易水道事業などに5億8400万円を盛り込んだ。喜界町での一般廃棄物最終処分場整備、徳之島愛ランドクリーンセンターの焼却炉など設備改良も進める。

 

農林水産基盤整備は4%(2億8800万円)増の総額74億2千万円。喜界島、沖永良部島の地下ダム整備を継続する。水産基盤整備で古仁屋漁港(瀬戸内町)や知名漁港などで漁港や漁場整備を進め、漁港施設の機能強化、水産物の安定供給を図る。

 

社会資本総合整備(交付金)は2%(1億4900万円)増の75億3800万円。国道58号おがみ山バイパス事業(奄美市)関連費を計上したほか、防災分野で道路耐震補強やのり面対策などを行う。

 

非公共は振興開発調査費を含め23億8千万円。奄振交付金では「沖縄との連携」を視野に、これまで鹿児島県本土までだった農林水産物の輸送費支援の移出先に沖縄も加えるほか、群島民を対象に県内各路線で実施していた航路・航空路の運賃割引を沖縄路線にも広げる。

 

農林水産業の振興へ、輸送コスト支援事業の対象品目に「畜産」を追加。台風接近時に肥料搬入や農産物の出荷が滞ることから、堆肥舎や貯蔵施設などを整備する。

 

奄美群島成長戦略の実現に向けた支援として、①関係人口の拡大、移住促進②教育、文化の振興③製造業の振興―を拡充する。中でも民間と連携した取り組み(事業開始から3年以内)のうち、雇用創出効果や観光消費の促進が見込まれる創業と事業拡大、群島固有の地域資源やデジタル技術を活用した実証事業については、交付率をかさ上げして強力に支援するとしている。