スクールバス、値上げ抑制を 負担3倍に保護者ら要望 奄美市特認校制度

2023年12月23日

社会・経済 

安田壮平市長に要望書を手渡す崎原小中PTA会長の保枝隼人さん(左)=22日、奄美市名瀬

校区外から児童生徒を受け入れる奄美市の小規模校特別認可制度(特認校制度)で、市教委は来年度からスクールバス利用に伴う保護者負担金の大幅な値上げを検討している。背景にあるのは運行コストの増加など。特認校に指定されている崎原小中学校(奄美市名瀬)のPTA関係者ら3人が22日、奄美市役所を訪れ、値上げ幅を最小限に抑えるよう求める要望書を安田壮平市長に手渡した。

 

特認校は、小規模校や過疎地の活性化を目的に校区外に居住する児童生徒の通学を許可する制度。同市では崎原小中と芦花部小中の両校が指定されており、今年度は2校で計56人の特認生が在籍している。

 

市教育委員会は特認生に対してスクールバスでの通学を原則として定め、運行をしまバス(本社奄美市名瀬)に業務委託。児童生徒一人当たりの運賃を毎月約2万円補助。保護者負担は15%で、月額(8月を除く)▽崎原小中 3500円▽芦花部小中 4000円─としてきた。

 

ところが燃料高騰などの影響で、来年度はスクールバスの業務委託費が今年度の1・4倍に上る約2270万円となる見積りに。これを受け、市教委は保護者負担の30%への引き上げを検討。遠距離バス通学の高校生が定期券の3分の1の額を負担していることから、同水準に合わせる形とし、12月上旬、スクールバス利用時の保護者負担金が来年度から児童生徒一人当たり月1万~1万2000円となる見込みを通知した。

 

22日は崎原小中PTA会長の保枝隼人さん(62)と妻のさつきさん(50)、崎原集落の瀧田龍也区長(65)が来庁。「多少の値上げは仕方ないが、一気に3倍になると大変な痛手。金銭的な理由で子どもたちの通学が妨げられることがあってはならない」として値上げ幅を可能な限り抑えるよう要望した。

 

要望書を受け取った安田市長は「これまでの経緯を含めてもう一度検討し、正式に決まればしっかりご説明したい」、村田達治教育長は「市としてもかなりの補助をしているが、保護者の負担が大きいことは理解している。子どもたちが通学しやすい環境づくりは大切。なんとか値段を下げられないか検討し回答する」と話した。