奄美、沖縄の交流拡大へ 両県と広域事務組合が連携協定

2023年08月25日

政治・行政

協定締結式に臨んだ鹿児島県と沖縄県、奄美群島広域事務組合の関係者=24日、奄美市笠利町の県奄美パーク

鹿児島県と沖縄県、奄美群島広域事務組合は24日、「沖縄と奄美群島との交流の拡大にかかる連携協定」を締結した。両地域間の交流人口の往来と農林水産物などの輸送の円滑化や、自然環境保全、青少年の交流に関する取り組みなどに3者が連携し、促進する内容。広域事務組合管理者の安田壮平奄美市長は「人、物、そして心の交流を推進し、両地域相互の振興発展につなげていきたい」と話した。

 

同日、奄美市笠利町の県奄美パークで協定締結式があり、安田市長と、鹿児島県の藤本徳昭副知事、沖縄県企画部の武田真企画調整統括官が協定書を交わした。奄美群島の首長らも出席し、記念撮影を行った。

 

3者は今後、奄美、沖縄の①住民と交流人口の往来の円滑化②観光振興③農林水産物などの輸送の円滑化④自然環境の保全と再生⑤青少年の交流│などに協力して取り組む。具体的な取り組み内容や、実施方法、費用負担などについて今後、協議していく。

 

鹿児島県離島振興課によると、連携協定は▽2021年に奄美、沖縄が一体的に世界自然遺産登録された▽22年度に実施した県の総合調査や、奄美群島の新たな成長戦略ビジョン策定において、沖縄との連携の重要性が改めて認識された│ことなどを踏まえ、鹿児島県側から沖縄県へ提案して実現した。

 

23年度末に期限を迎える奄美群島振興開発特別措置法の延長・改正に向けて、鹿児島県では今回の協定も踏まえ、奄振交付金事業の制度拡充などを、国に対して要望していく方針。

 

協定締結式で藤本副知事は「世界自然遺産登録は両県をつなぐ新たな絆となった。この素晴らしい自然を次の世代にしっかりと継承していくため、両県が共に手を携え、遺産価値を維持していかないといけない」などとあいさつ。

 

武田統括官は「奄美、沖縄のさらなる交流促進と連携の強化は、両地域の課題解決や産業振興、地域経済の活性化につながる」と期待した。

 

今回の協定と別に鹿児島、沖縄の両県は09年、「交流拡大宣言」を行い、交流促進に取り組んでいる。