寄付額、件数とも前年割れ 徳之島など4市町1億円超 22年度ふるさと納税

2023年05月07日

政治・行政

 古里など応援したい自治体に寄付を行うことで税金の還付・控除が受けられる「ふるさと納税」。南海日日新聞が奄美12市町村へ取材した結果、2022年度寄付総額(速報値)は前年度比4・2%減の15億2601万6千円、寄付件数は同7・1%減の13万4901件といずれも前年度実績を下回った。物価高騰に伴う寄付設定額の見直しや新型コロナの巣ごもり需要低迷などが背景にあるとみられ、寄付者獲得には他自治体との差別化が鍵になりそうだ。

 

ふるさと納税は08年度にスタート。寄付金は自治体の自主財源となるほか、寄付者へ謝礼として贈る「返礼品」が地場産業の振興にもつながるため、各自治体とも制度を積極的に推進している。

 

奄美群島内で寄付額トップは徳之島町4億2022万5千円(前年度比2・1%減)。奄美市、喜界町、和泊町を含む4自治体で1億円を超えた。

 

22年度の寄付額は宇検、瀬戸内、龍郷、喜界、知名の5町村で増え、奄美、大和、徳之島、天城、伊仙、和泊、与論の7市町村で減った。

寄付額が18年度から5年連続で最多の徳之島町は、寄付件数も3年ぶりにトップに返り咲いた。寄付額は前年度と比べて微減だったが、寄付件数は同町として過去最高だった20年度の3万4998件から約4千件増やした。担当者は「牛肉など高額な返礼品への申し込みは苦戦しているが、そのほかの特産品で注文を多くいただいている」と説明した。

 

群島12市町村合計の寄付額、件数が前年実績を下回ったことについて、徳之島町の担当者は「ライバルは全国の自治体で競争は激しい。今までと同じことをしていたら、現状維持も難しい」と危機感を募らせ、町の対策として「ポータルサイトを増やして、さらに周知を図りたい」と述べた。

 

喜界町は寄付額、件数とも前年比約25%増と堅調に推移した。特に粗糖(ザラメ)の申し込みが前年の約2倍に伸び、件数全体の25%を占める主力返礼品になった。担当者は「豊富なミネラルを含む島内産ザラメが料理関係の雑誌に掲載され、健康志向の方を中心にリピーターがついてきた」と手応えを語り「23年度は生産者の顔が見える取り組みを推進したい」と意気込んだ。

 

知名町は昨年9月から、1千円台から申し込み可能な低額返礼品を導入。寄付件数は前年度の約2倍に伸びた。担当者は「知名町を知ってもらうきっかけになった。今後は低額返礼品以外の申し込み増加や生産者と寄付者が直接つながるようにしたい」と期待を寄せる。

 

和泊町は寄付件数が約1万8千件減少した。総務省は19年から返礼品やポータルサイト利用料、送料などの経費について、寄付総額の5割以下と規定している。担当者は「物価高騰で返礼品の仕入れが上昇し、寄付額を見直したことが件数減につながった。コロナが落ち着いたことで、巣ごもり需要が減退したことも大きい」と分析した。

 

 

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