急患、沖縄へ受け入れ依頼可能に  奄美大島、喜界の妊婦・新生児 県周産期医療協議会

2023年02月01日

政治・行政

奄美群島からの急患搬送などについて協議した県周産期医療協議会=30日、鹿児島市

2022年度県周産期医療協議会(会長・池田琢哉県医師会長、委員18人)が30日、鹿児島市のホテルであった。奄美大島と喜界島の医療機関における妊婦・新生児への緊急時対応で新たに、島外搬送時の調整窓口である鹿児島市立病院が、沖縄県立南部医療センター・子ども医療センターに受け入れを依頼できるよう制度を見直した。同協議会の変更案了承を受け県が31日に通知し、正式運用を開始した。

 

県によると、対応手順の変更は県内離島の急患搬送を担ってきた海自第22航空隊鹿屋航空分遣隊の救難ヘリ除籍に伴う措置。

 

夜間や天候不良時に県立大島病院(奄美市)で対応が困難と判断された場合、担当医から要請を受けた鹿児島市立病院が受け入れ調整を行い、沖縄県の医療センターで対応できなければ鹿児島市立病院が受け入れを検討する。鹿児島市立病院でも対応が困難であれば鹿児島市の鹿児島大学病院と、いまきいれ総合病院に依頼する。

 

与論島の医療機関で妊婦や新生児の島外搬送が必要と判断された場合の対応手順も一部改め、これまで先行していた大島病院への依頼より先に、沖縄県の医療センターに受け入れ依頼を行うこととした。徳之島と沖永良部島の医療機関の対応手順については現行から変更はない。

 

県が示したドクターヘリなどによる21年度周産期搬送実績(奄美群島、十島村)によると、新生児は徳之島からの搬送5件で、搬送先は奄美大島3件、鹿児島市と沖縄が各1件だった。妊産婦は計19件で、搬送元の内訳は奄美大島11件(搬送先・いずれも鹿児島市)、喜界島1件(同・奄美大島)、徳之島6件(同・鹿児島市、奄美大島各3件)、与論島1件(同・沖縄)。

 

このうち、夜間や悪天候時に出動した自衛隊ヘリによる搬送は、鹿屋自衛隊ヘリが2件でいずれも奄美大島から鹿児島市への妊産婦の搬送。沖縄自衛隊ヘリ(陸自第15旅団)は4件あり、内訳は徳之島からが新生児の3件(搬送先・奄美大島2件、沖縄1件)で、与論島からは妊産婦1件(同・沖縄)だった。