改正奄振法が成立 自立的発展へ5年延長 移住促進、沖縄と連携柱に 参院本会議

2024年03月30日

政治・行政

改正奄振法案を全会一致で可決した参院本会議=29日

奄美群島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案(改正奄振法案)が29日、参院本会議で全会一致で可決され、成立した。同法は法期限が2028年度末まで5年間延長された。移住の促進や沖縄との連携を柱に、人の流れを創出して奄美群島の地域特性に応じた産業振興などを展開し、自立的発展に向けた振興開発を目指す。

 

同日は午前中に参院国土交通委員会があった。7会派8人が法延長を見据えた今後の施策や重点項目について質問。午後開かれた参院本会議では、青木愛国交委員長の審議報告、本土と奄美群島間の航空運賃軽減や子育て環境の格差解消など8項目の付帯決議を報告した後、採決された。

 

改正法では目的規定に「移住の促進」を追加し、配慮規定を新設。空き家改修などによる移住者向けの住宅整備を支援するほか、都市圏でのプロモーション活動を展開し、群島へ移住しようとする人への情報提供や便宜供与、来訪、滞在促進について適切な配慮を実施する。

 

法の基本理念に明記した沖縄との連携については、人流・物流の活性化を支援する。具体的にはこれまで鹿児島本土までだった農林水産物の輸送費支援の移出先に沖縄も加えるほか、群島民を対象に県内各路線で実施していた航路・航空路の運賃割引を沖縄路線にも広げる。旅行者などを対象に群島と沖縄を結ぶ航路航空路運賃助成も継続する。

 

新たな課題への対応として、配慮規定に「遠隔教育」「先進的な情報通信技術の活用」を追加した。このほか遠隔医療や福祉、教職員の配置・待遇などに関する項目も盛り込んだ。

 

奄美群島振興開発基金の業務として、現行の債務保証や融資業務に加え、事業者へのコンサルティング業務を追加する。事業者へのきめ細やかな経営支援を通じて新たな収益源を確保し、同基金の収支改善につなげる。

 

既存メニューの拡充として、航路航空路運賃助成事業で高校卒業後に群島外の大学などへ進学した奄美出身の学生らに限定していた「準住民」の対象に、介護を目的とした帰省者を追加。農林水産物輸送コスト支援事業の対象品目に「畜産」を加えた。

 

24年度奄振予算(国交省一括計上分)は、対前年度比2.6%増の205億6400万円。