沖縄と連携へ事業拡充 おがみ山バイパス、トンネル本体着工へ 県予算・奄美関係

2024年02月10日

政治・行政

 県は9日、2024年度当初予算案を発表した。奄美関係では今年度末で期限切れを迎える奄美群島振興開発特別措置法(奄振法)の改正を見据え、沖縄県との連携強化の予算として、航路・航空運賃軽減事業や農林水産物輸送コスト支援事業などのメニューを拡充。離島地域子ども通院費等支援事業、次期奄美群島振興開発計画策定事業などを新規に組み込んだほか、国道58号おがみ山バイパス事業で、トンネル本体工事の着工予算を盛り込んだ。

 

航路・航空運賃軽減事業は、奄美群島に在住する住民を対象に、これまで鹿児島本土と群島間を結ぶ路線で実施してきた運賃割引を沖縄路線にも拡充する。沖縄路線で運賃割引が開始される時期や割引率については、現在運航事業者と調整中。また、群島民に扶養されている群島外在住の学生らを位置付けていた「準住民」に介護帰省者も加える。

 

農林水産物輸送コスト支援事業は、農林水産物の移出先に沖縄県を追加する。また、対象品目に「畜産」を加えるほか、農林水産物や加工品の製造に必要な原材料等の移入品目数を、1市町村当たり現行の3品目から5品目へ拡充する。

 

次期奄美群島振興開発計画策定事業は改正奄振法成立後、国が策定する基本方針を受け県が策定する。前回法改正があった19年は5月下旬に同計画を策定しており、今回も基本方針が示された後、速やかに策定作業を進める。地元自治体の裁量に基づく産業振興などの取り組みを支援する奄美群島成長戦略推進交付金に8億3709万円を計上した。

 

道路関係では、国道58号おがみ山バイパス事業で、奄美市名瀬永田町と名瀬真名津町を結ぶトンネル(延長1225メートル)本体工事に着手する。トンネル掘削は真名津町側から取り掛かる計画で、本体工事完了は27年度を予定している。

 

空港整備では奄美大島、徳之島両空港の滑走路端安全区域の拡張を継続。港湾整備では亀徳、和泊、湾の各港で引き続き防波堤整備を進めるほか、名瀬港本港区で1号岸壁の改良と旅客ターミナルの整備を行う。

 

世界自然遺産関連では、奄美世界自然遺産保全・活用推進事業を拡充し、15年度に策定した奄美群島持続的観光マスタープランの改訂に向けた調査・検討を進める。新規の希少野生生物調査事業は、県内の絶滅危惧種の最新状況把握のため、専門家の知見を元に複数年かけて調査やデータ整理を行い、県レッドデータブックを改訂する。

 

新規の離島地域子ども通院費等支援事業は、島外の医療機関への通院等に要する交通・宿泊費を助成する市町村に対し、費用の一部を助成するもの。最大で年間6回の交通費往復分と宿泊費12泊分の費用の一部を助成する。

 

離島生徒指定大会遠征費助成事業は、県本土で開催される県大会などの指定大会に出場する中高生の航路運賃の助成割合を、従来の2割から4割へ引き上げる。

 

予算案は20日開会の県議会3月定例会に提案する。