県内最年少の協力隊着任 神奈川県出身の市川さん 喜界町

2022年04月14日

政治・行政

県内最年少の地域おこし協力隊として喜界町に着任した市川さん=11日、喜界町湾

喜界町に今年度から、今春に高校を卒業した市川萌笑(もえ)さん(18)=神奈川県相模原市出身=が地域おこし協力隊として着任した。市川さんは島根県海士町の高校で3年間を過ごした島留学の経験を生かし、喜界町が官学連携で取り組む喜界島版の離島留学「サンゴ留学」の周知や制度設計を担う。県地域政策課によると、県内自治体ではこれまで高校卒業後すぐに地域おこし協力隊として着任した事例はなく、市川さんは県内最年少の協力隊として活動する。

 

市川さんはさまざまな目的・目標を持ち、価値観が異なる同世代との交流や自然に親しむため、古里を離れて島留学の先進地として知られる島根県隠岐諸島の隠岐島前高校に進学。官民挙げて島留学を支える地元の体制を肌で感じてきた。

 

喜界町は2021年度、喜界高校に3年間通いながら喜界島サンゴ礁科学研究所でさまざまな研究を行う「サンゴ留学」の留学生を募集したが応募はゼロ。留学制度の周知不足を反省点に挙げ、制度のPRや次年度の生徒募集に向けた受け入れ体制整備のため昨年、サンゴ留学を担当する地域おこし協力隊を募集していた。

 

地元住民との多彩な交流で充実した高校生活を過ごした市川さん。高校3年に同町の募集内容を知り、「喜界島はいつか住んでみたいと思っていた。島留学の経験を生かし、支えられる側から今度は高校生を支える側になりたい」と応募。町は市川さんの思いと経験を評価し、10代の協力隊が誕生した。

 

喜界高校は今年度から、都道府県の枠を越え全国各地から生徒を受け入れる「地域みらい留学」にも参画。市川さんは同制度を導入している学校を紹介するインターネット上のサイトや対面による関東圏での学校説明会、喜界高校でのオープンキャンパスなどでサンゴ留学を周知する。

 

また、町がサンゴ留学生用に今年2月に整備した寮で生活する規則の策定に携わるほか、留学生の受け入れに必要な官民の支援策を提案する。

 

喜界町に移住して約2週間。「一歩外に出たら、住民とつながることができるのが魅力的。イメージ通りの島」とほほ笑む。地域おこし協力隊として「全国から喜界島で学びたいという高校生をサポートしたいという気持ちが協力隊を志した原動力。サンゴ留学が軌道に乗るよう頑張りたい」と意気込みを語った。