航路拡充、産科開設など訴え 知事とのふれあい対話 喜界町

2023年01月22日

政治・行政

 塩田康一知事と県民が意見交換する「知事とのふれあい対話」が21日、喜界町コミュニティセンターであった。町内の農家や観光関係者、医療従事者などから推薦5人、公募9人の計14人が発表。航路流通や離島の条件不利性解消に向けた各種助成制度、島内の医療提供体制の現状や課題などを訴えた。

 

ふれあい対話は2020年10月の徳之島3町を皮切りに県内各地で開催しており、喜界町は34市町村目。5人1組が一度に発言し、塩田知事がまとめて回答する形式で進行した。

 

物流の要である航路の拡充は、複数の登壇者が取り上げた。生活物資の確保や利便性向上の観点から「鹿児島~喜界~知名航路の寄港数を増やして」「鹿児島~沖縄航路で喜界島に寄港できないか」などの求めに対し、塩田知事は「生活物資を確保する上で重要な航路。人や物流の量など需要面や既存航路への影響を含め、検討して考える必要がある」と理解を示した。

 

条件不利性改善のための助成は、2年前にIターンした男性が質問した。喜界島への引っ越し代で50万円を要した自身の経験談を交え「離島移住には高額費用が掛かりハードルが高い。既存の県の移住支援金制度では、離島へ移住する場合に支給要件を満たせないケースも多い」と訴え、塩田知事は「現行の支援制度を見た上で、中身を精査したい」と応じた。

 

産婦人科がない喜界島の妊婦は、出産予定日約1カ月前から島外の病院へ入院する。5人の子どもがいる住民からは「島外出産に必要な渡航費や滞在費などは助成されるが、母親と離れ残された子どもの精神的負担は大きい。この島で出産はできないのか」と産婦人科の開設を要望した。

 

塩田知事は「産婦人科の医師を増やす取り組みをしているが、すべての島に産科医を置くことは難しい。妊婦やその家族の負担を少しでも軽減するため、産科医の巡回ができないか医療機関と相談したい」と述べた。

 

このほか登壇者からは移住した人の親族など、関係人口の航路・航空路運賃助成や喜界島産ゴマや牛肉など、日本一を誇る県産品の海外市場開拓強化、沖縄県が実施している離島医療費助成を求める意見があった。

 

ふれあい対話は2月4日、与論町でも予定している。