観光業従事者ら対象に研修会 障がい者らへの対応法学ぶ 県企画観光課

2022年10月04日

政治・行政

車いす体験をする参加者ら=3日、龍郷町

障がいの有無や年齢などに左右されることなく、誰もが安心して旅行を楽しめる「ユニバーサルツーリズム」の推進を目的とした「おもてなし研修会」(県大島支庁総務企画課主催)が3日、龍郷町の生涯学習センター・りゅうがく館であった。旅行業や宿泊業者ら15人が参加。座学と実技を通し、障がい者や高齢者らへの対応方法、受け入れ体制について知識を深めた。

 

県が2020年から実施している「奄美群島ユニバーサルツーリズム推進事業」の一環。奄美の基幹産業である観光業において、質の高い〝おもてなし〟ができる地域の構築により、ブランディングを高めるのが狙い。講師は、大手旅行会社で20年以上にわたりバリアフリーツアーの運営に携わった実績を持つ、渕山知弘さん(53)が務めた。

 

座学は「お客様のしたいを叶えるためには」と題して講演。観光庁が「アフターコロナ時代における地域活性化と観光産業に関する検討会」で掲げた▽価値創造型ビジネスへの転換、送客型から誘客型へのシフト▽新たな旅行市場の開拓▽独自の強みを生かした事業の多角化の推進▽アフターコロナにおける旅行需要の円滑な回復など―の四つのポイントに基づき、障がい者や高齢者らの旅行市場における現状や可能性を、自ら手掛けた旅行商品の事例と絡めて紹介した。

 

実技では、「アイマスク体験」と「車いす体験」を実施。身体障がい者の生活を疑似体験したほか、介助者の役割や安全な誘導方法について学んだ。航空会社勤務の松山すみれさん(25)=奄美市=は「介護福祉士の資格を持っているが、疑似体験を通してより一層、お客さまに寄り添い、傾聴しながらケアして行くことが大切だと感じさせられた」と話した。

 

渕山さんは「世界自然遺産に登録された奄美において、ユニバーサルツーリズムの推進は必須であり、遂行できるポテンシャルを十分に有した地域でもある。二次交通などハード面での課題はあるが、地域一体となり、観光業を盛り上げていってほしい」と述べた。