誰もが出掛けやすい地域に 市民ら80人、街中練り歩く 共生プロジェクト 奄美市名瀬

2023年02月15日

政治・行政

歩行に不安を抱える人とその支援者を含む市民らが共に市街地を練り歩いた「奄美共生プロジェクト」=12日、奄美市名瀬

地域社会で支え合う機運醸成を目的としたイベント「奄美共生プロジェクト」(奄美大島介護事業所協議会など主催)が12日、奄美市名瀬で行われた。午前中の「街中ウォーキング」には加齢や障がいで歩行に不安を抱える人とその支援者を含む市民ら約80人が参加。市街地各所から市役所を目指して共に歩く中で、誰もが出掛けやすい地域づくりへ意識を共有した。午後には専門家を交えて意見交換する講演会もあった。

 

イベントは2019年に始まり、20~22年は新型コロナウイルスの影響で中止。今回が4年ぶり2度目の実施となった。参加者は午前中、名瀬市街地の奄美小、伊津部小、金久中などから市役所を目指し、それぞれ1キロ余りを歩いた。

 

奄美小から歩いたのは約20人。車いすやつえを使う参加者もおり、一行は最後尾のペースを見ながら「段差があるよ」「疲れてない」など声を掛け合い、道路横断時も通行車両に合図するなど配慮した。見守る近隣住民も多く、沿道は温かい雰囲気に包まれた。

 

一行を先導した地元の渡嘉敷誠さん(50)は「普段意識しない路上の障害物が目に付いた。こういう機会は大事だと思う」と感想。車いすの90代女性を連れて参加した福祉施設スタッフの向島健作さん(49)は「(女性も)いきいきしていた」と目を細めた。

 

全参加者が一堂に会したゴール地点の市役所で、奄美大島介護事業所協議会の盛谷一郎会長は「参加者一人一人、さまざまな気付きがあったと思う。誰もが暮らしやすい地域社会について考え、動くきっかけとなれば」と語った。

 

同日午後には「地域共生」をテーマとした講演会が市役所であり、厚労省社会・援護局の担当者や県本土で福祉・介護コンサルタントを手掛ける民間企業の代表らが登壇。奄美の官民関係者を交えて意見交換した。