野村農水相が農業被害視察 瀬戸内町久慈「激甚」へ、意向示す

2023年06月30日

政治・行政

① 果樹農家の広野裕介さん(左)から説明を受ける野村哲郎農水相(中央)=29日、瀬戸内町久慈

奄美大島で20日から続いた記録的な大雨による農業被害を受けて、野村哲郎農水相が29日、瀬戸内町久慈の果樹園を視察した。土石流でマンゴーやタンカンの木が流された果樹農家の広野裕介さん(37)から話を聞き、野村氏は「入植して一生懸命やろうとしている中で起こった出来事。一人でも救えればいい」と語り、激甚災害の指定に取り組む意向を示した。

 

久慈集落では、土石流が発生して山から大量の土砂や流木などが押し寄せた。町農林課によると、山裾にある広野さんの果樹園では、マンゴーを栽培していたビニールハウス1棟が全壊し、タンカンなど1ヘクタールのかんきつ類が流出した。広野さんを含め久慈集落の農業被害額は28日時点で約2640万円。

 

野村氏の視察には鎌田愛人町長、保岡宏武衆院議員らが同行。町職員から被害状況や、今後の対策について説明を受けた。福井県出身で、5年前に移住して就農した広野さんは「(果樹栽培が)地域おこしになるという気持ちでやってきた。あきらめたくない。必ず奄美を代表する農家になる」と語り、支援を求めた。

 

野村氏は「果樹農家が災害に遭うと(植え付けから収穫まで)最低でも3年から5年の未収益期間ができる。もう一度立ち直れる仕組みをつくってあげないといけない」と力を込め、「急がないと2次災害が発生するかもしれない。人命にも関わる」と対応を急ぐ考えを示した。