25年7月完成へ 新たにエスカレーター整備 名瀬港旅客ターミナル

2023年12月15日

政治・行政

老朽化に伴い新築移転する名瀬港旅客ターミナルの完成イメージ(臨港道路側)=県港湾空港課提供

名瀬港旅客ターミナル(奄美市名瀬塩浜町)の新築移転を計画する県は14日までに、完成時期が2025年7月になるとの見通しを示した。鉄筋コンクリート3階建てで、現在の旅客ターミナルにはないエスカレーターを整備するなど、高齢者らにも配慮して利用者の利便性向上を図る。世界自然遺産に登録された奄美大島の海の玄関口でもあることから、県は地元関係者と連携して、観光案内スペースなどを活用した島の魅力発信にも力を入れていく方針だ。

 

県港湾空港課によると、ターミナルは現施設の老朽化に伴い新たに整備する。1975年完成で2階建ての現ターミナルは、1階部分が1号貨物上屋、2階部分が待合所として利用されている。新ターミナルの建設場所は現ターミナルと2号貨物上屋の間で、延べ床面積は1905・4平方メートル。総工費は県費で賄い8億7780万円。現ターミナルは新ターミナルの完成後に解体し、計画では現地で貨物上屋の建て替えを行う。

 

新ターミナルの1階は管理事務所や発券所、観光案内スペースなどを設け、2階は売店などのテナント用4室が入る。1、2、3階とも待合所として利用できるようにする。多目的トイレや乗降客用スロープなどバリアフリーに配慮した整備も行う。延べ床面積は現待合所の約1・4倍になる。

 

また、フェリーによって出入り口の高さが異なることから、船体備え付けの階段を使わずスムーズな移動が将来的に可能になるよう、ターミナルの2、3階にそれぞれボーディングブリッジとつながる乗降客通路を設ける。

 

名瀬港では国の事業で岸壁を拡張する改良工事も行われており、新旅客ターミナル整備とも連動して名瀬港の機能強化が進められている。同課の佐多悦成課長は「世界自然遺産の島の海の玄関口として、新しい旅客ターミナルがシンボル的な役割を果たし、島民の方々が快適に過ごせる場所としても役立つよう整備を進めていきたい」と話した。