今秋、古仁屋で適地調査 九州防衛局 自衛隊「海の拠点」整備へ 

2023年07月15日

政治・行政

新たな港湾設備の整備に向けた適地調査が開始される瀬戸内町。古仁屋市街地の面前には、穏やかな大島海峡が広がる=12日、瀬戸内町の高知山展望台から

九州防衛局はこのほど、瀬戸内町古仁屋港周辺を調査対象とした「土質等調査」と「環境調査」の入札情報などを同局ホームページで公告した。調査の目的は「物資輸送の拠点として新たに整備を計画している港湾施設の適地検討」としており、海陸の地盤調査やアセスメント(環境影響評価)などを今秋から開始するとみられる。自衛隊の輸送・補給基盤となる、新たな港湾設備整備に向けた動きが進む見通しだ。

 

入札公告によると、陸上や海底の地盤に穴を開け土サンプルを採取、地質の強度や深度などを確認する「ボーリング調査」や測量などと並行し、現況の環境把握を目的とした調査として、アセスメントや有識者ヒアリング、関係機関協議などを行う。

 

土質等調査の開札は9月4日、履行期間は2024年3月15日までとしている。環境調査の履行期間は25年3月15日までとなっており、期間の差について同局は「それぞれに必要な期間が異なるため」としている。

 

調査開始時期について同局は、南海日日新聞の取材に対し「落札業者が決まっていないため、具体的な期間について答えられる段階ではないが、23年秋ごろから調査を実施する予定」と回答。港湾施設の着工および完成時期目標は「適地調査の段階であり、現時点では具体的な時期は回答できる段階ではない」とした。

 

南西諸島の防衛力強化に必要とされる基盤整備は奄美大島各地で進んでおり、奄美駐屯地・瀬戸内分屯地関連の23年度予算は約109億円。古仁屋港周辺を候補地とする輸送・補給基盤整備の適地調査関連経費は約6億円を計上している。