コウモリの「声」拾い生息調査 名瀬での調査結果を報告 鹿大奄美分室勉強会

2024年01月21日

地域

奄美市名瀬におけるコウモリの生息調査結果などを報告した鹿大奄美分室の勉強会=19日、奄美市名瀬

鹿児島大学国際島嶼(とうしょ)教育研究センター奄美分室の勉強会「第43回奄美分室で語りましょう」が19日夜、奄美市名瀬の同分室であった。同分室の牧貴大特任研究員(29)が、周辺の土地利用が異なる同市名瀬の五つの河川沿いで録音したコウモリの音声データを基にした生息調査結果を報告。土地利用の改変がコウモリの生息地に影響を与えている可能性を指摘し、今後詳細に分析するとした。

 

同分室は研究成果を共有する勉強会や、島内の専門家を招いての講話を2015年の開設当初から開催。19日はオンラインを含む約20人が参加した。

 

奄美大島には8種のコウモリが生息しているとされ、うち4種は環境省のレッドリストで絶滅危惧IA類とIB類に分類される。牧研究員は種の保全に向け、人間の活動がコウモリの生息に与える影響を明らかにする目的で、23年4月の同分室着任時から研究を進めてきた。

 

調査は23年9~10月に、コウモリが発する超音波を録音できる専用機器を用いて実施。種によって発する周波数帯が異なるといい、5河川で環境省レッドリスト絶滅危惧IA類「ヤンバルホオヒゲコウモリ」など6種を識別。河川別の種の数や活動量(音声の数などから定義)を、森林など周囲の環境と比較した。

 

参加した奄美市名瀬の興津絵美さん(27)は「保全のために基礎資料となる研究データは重要。音声の録音調査は、捕獲に比べてコウモリ、研究者双方の負担が少なく効率的だと思った」と話した。