休耕田活用しマコモ栽培 作業歌に合わせ、植え付け体験 瀬戸内町伊須集落
2023年03月31日
地域
瀬戸内町の伊須集落(白川智津乃区長、20世帯)で28日、マコモの植え付け体験があった。地元住民と町内外の親子ら約30人が参加。約30坪の田んぼで「大きくなって」と願いを込めながら、苗を1本1本丁寧に植えた。
マコモはイネ科の多年草。茎に黒穂菌(くろぼきん)が入ると根元の部分が肥大化して「マコモダケ」となる。奄美大島では「台湾ダーナ(タケノコ)」とも呼ばれる。タケノコに似た食感とほのかな甘味が特徴で、秋の味覚として知られる。
集落の休耕田を活用して子どもたちに田植えを体験してもらおうと、奄美群島広域事務組合の「こども環境学習助成事業」の交付金を受けて初めて開催。龍郷町大勝でマコモを栽培している南重喜さん(82)を講師に招いた。
参加者らは横一列に並び、ぴんと張ったロープを目印に苗を植えた。同町の唄者・里朋樹さん(32)が歌う作業歌「イトゥ」とチヂン(太鼓)のリズムに合わせて、膝の上まで泥に漬かりながら作業に汗を流した。
家族や友だちと参加した嘉鉄小学校4年の德重琉那さん(10)は「田んぼはイモリを踏みそうで怖かった。サトウキビみたいに大きく伸びてほしい」と笑顔。母親の朋子さん(48)=岡山県出身=は「幼い頃に家の手伝いで田植えをしたことがある。懐かしい風景でした」と話した。
マコモの栽培は、8年前に移住した青木聡美さん(48)=石川県出身=が集落に提案し、約50年前まで稲作が行われていた休耕田を開墾した。青木さんは「昔の田んぼがあった風景を見たかった。島唄と子どもたちの声を聞きながら、緑の苗が植えられていく風景を見られて幸せ」と喜んだ。
白川区長(61)は「集落には子どもがいないので、にぎやかになってよかった。一年を通して草取りの作業や収穫の体験もしてもらいたい」と話した。