各地域の日本復帰学ぶ 奄美、沖縄、トカラ、小笠原 オンライン交流会

2023年12月03日

地域

奄美、沖縄、トカラ、小笠原諸島をインターネットでつないだ「奄美復帰70周年記念全国復帰っ子オンライン交流会」=2日、奄美市名瀬

戦後の米軍政下から日本に復帰した地域をインターネットでつなぐ「奄美復帰70周年記念全国復帰っ子オンライン交流会」が2日、奄美群島と沖縄、トカラ列島、小笠原諸島(東京都)の4地域を結んで行われた。各地域から復帰の歴史伝承に取り組む各島の島民や出身者、島民2世らが参加。奄美群島の日本復帰の話を中心に、それぞれの地域の違いや共通点を情報交換し、歴史や復帰の経緯に理解を深めた。

 

「奄美群島の日本復帰運動を伝承する会」など6団体が主催。奄美会場は奄美市名瀬のアマホームPLAZA(市民交流センター)に設けられ、島内から約40人が参加した。

 

交流会は、奄美会場の基調報告で始まった。奄美の〝復帰っ子〟で「伝承する会」副会長の安原てつ子さん(70)が復帰の経緯を語り、「先人に学び、過去と未来をつなげ、人々がいきいきと暮らし続けることを願う。このような会があることで横のつながりができ、展望が明るくなる」と話した。同じく〝復帰っ子〟で写真家の浜田太さん(70)は「復帰を意識したのは復帰40周年の時。(一昨年に)奄美が世界自然遺産に登録されたことで、奄美の本当の姿が世界に認められた。これまでを総括し、これから奄美の未来をどうつくっていくか考える時なのでは」と投げ掛けた。

 

続いて沖縄、トカラ列島、小笠原諸島から、米軍政下の状況や困りごと、復帰に対する(奄美市)名瀬以外の人々の意識などについて質問があった。

 

「復帰の年に生まれただけなのに、〝復帰っ子〟と呼ばれるのは喜ばしいことか、それとも迷惑か」との質問に安原さんは「迷惑とは思わないが、(若い頃は)あまり意識していなかった。復帰50周年の年にこれではいけないと思って勉強を始め、今では奄美に生まれてよかったと自信を持って言える」と話した。

 

十島村役場総務課の担当者は、トカラ列島が奄美より早い1952年に復帰した理由を「トカラの地域を返還することで、奄美や沖縄の復帰運動の動きを和らげることが目的の一つにあったのでは」と説明。68年に復帰した小笠原諸島や72年に復帰した沖縄の参加者も、復帰の経緯や歴史を語った。

 

このほか「日本復帰」「祖国復帰」「返還」など復帰の呼称についても地域差があることなども示された。