奄美での研究発展に期待 瀬戸内町の施設紹介 東大医科学研究所公開講座 奄美市
2023年10月08日
地域
東京大学医科学研究所が瀬戸内町に設置する研究拠点「奄美病害動物研究施設」の改築を記念した市民公開講座が7日、奄美市名瀬のアマホームPLAZA(市民交流センター)であった。約120年の歴史を持つ同施設について、真下知士施設長が概要や研究内容を紹介。関係者と住民ら約40人が参加し、奄美大島での研究の発展に期待を寄せた。
熱帯風土病の克服を目的とした東京大学の研
究拠点施設と奄美大島の関わりは、1902年に国立伝染病研究所大島出張所が旧名瀬市に設置されたことが始まり。66年に現在の瀬戸内町須手に移転し、鹿児島大学熱帯医学研究施設(82年閉鎖)と同居する形で伝研奄美病害動物研究施設として発足した。
真下施設長は「奄美に寄り添った研究の歴史と発見」の題で、ハブの咬(こう)傷治療血清に関する研究や、日本のフィラリア症根絶の基礎となった研究などの成果を報告。現在は霊長類を用いたさまざまな病原体による感染症の実験・研究や、各研究機関と共同で取り組む最先端の研究が行われていることを紹介した。
公開講座は同施設第3棟動物実験棟の改築を記念し、6、7の両日奄美市名瀬で実施された研究者向けのシンポジウムの一環。真下施設長のほか、京都大学ヒト行動進化研究センターの岡本宗裕教授、東京大学大気海洋研究所の兵藤晋所長がそれぞれの研究内容について発表した。