奄美の「植物園」オープン ワダツミノキなど70種 造園業・瀧さん開設 奄美市笠利町

2023年05月05日

地域

奄美のさまざまな植物を観察できる「おりじん・たき」=4日、奄美市笠利町和野

奄美のさまざまな樹木や花を観察することができる植物園「おりじん・たき」が4日、奄美市笠利町の奄美空港近くに開園した。奄美大島で造園業を営む瀧源廣さん(73)=奄美市名瀬=が、従業員らと約1年かけて植栽した。同島の固有種で絶滅の恐れのあるワダツミノキなど、希少種も含め約70種を楽しめる。瀧さんは「世界自然遺産に登録された奄美の植物を、みんなで楽しめる園にしたい」と笑顔を見せた。

 

開花期を迎えたワダツミノキと植物園を開設した瀧源廣さん

瀧さんは、県奄美パーク(奄美市笠利町)や奄美大島世界遺産センター(同市住用町)などの植栽を手掛けた瀧緑地建設(同市名瀬)の代表取締役。植物園の整備は、世界自然遺産になった奄美大島で「高齢者が深い山に入るのは難しいし、ハブもいるので危険。車いすでも見学できる植物園ができないか」と思い立ち、計画を進めた。

 

笠利町和野に所有する約1万平方㍍の敷地に、地元の植物愛好家らから譲り受けたり、自ら栽培したりして用意したさまざまな樹種を植栽した。

 

ワダツミノキは、2004年に新種と分かり、奄美大島出身の歌手元ちとせさんのヒット曲にちなんで名付けられた。数が少なく、環境省のレッドリストで絶滅危惧ⅠA類。

植物園には、植物写真家の故・山下弘さんが同市住用町で営んでいた資料館「わだつみ館」にあった3本と、植物研究家の故・大野隼夫さんの笠利町の自宅にあった2本をそれぞれ譲り受け、移植した。

 

同日は瀧さんの知人らが来園し、咲き始めたワダツミノキなどの花見を楽しんだ。見ごろは今月中旬ごろまで。これからイジュやゲットウ、クマタケランなどが開花期を迎える。

施設は「まだ完成していない」と瀧さん。今後も水辺の植物やランなどを増やしていくという。「緑は安らぎ、花は感動を与えてくれる。植物に親しみ、愛する気持ちを持ってもらえたら」と話した。

 

植物園の場所は、奄美空港入り口交差点を西方向(山側)へ入り、約600㍍先の十字路を左折した道路沿い。入園無料。夜に咲く花もあるため、24時間いつでも出入りできる。問い合わせは電話0997(53)3690瀧緑地建設へ。