奄美観光ブランド確立へフォーラム
2019年01月27日
地域
奄美大島観光フォーラムが26日、奄美市名瀬のAiAiひろばであった。「奄美大島のさらなる観光交流の拡大にむけて」をテーマに、講演や島内外の観光関係者によるパネルディスカッションがあり、国内で増加するインバウンド(訪日外国人客)の受け入れも視野に奄美ブランドの確立の方策を探った。
フォーラムは日本観光振興協会、あまみ大島観光物産連盟主催。同協会が昨年2月に奄美市で開いた「訪日外国人受入懇談会」の議論を踏まえて、奄美大島の観光資源の活用と発信について、島全体で共通認識を図る目的で開催。観光関係者や住民ら約40人が参加した。
基調講演した国際観光サービスセンター常務理事の原祥隆氏は「住民と旅行者、観光関係者が幸せになることが観光の基礎」と述べた上で、観光先進地のカリブ諸国を引き合いに「観光教育」の重要性を強調。観光客を受け入れる地域住民が、雇用の増加や経済効果、旅行者との交流など観光によるメリットを認識することが大事だと訴えた。
同協会が小学生向けに作成した観光について学ぶ副読本を紹介し、「独自の奄美大島の観光を若い人に伝えてほしい」と呼び掛けた。
パネルディスカッションのテーマは「奄美ブランドの確立」。株式会社JTB訪日インバウンドビジネス推進部事業推進室長の榎戸隆之氏をコーディネーターに、地元と同協会から6氏が意見交換した。
地元側から、新規航空路線の開設や奄美の世界自然遺産登録を視野に、入り込み客数の増加傾向が続く一方、宿泊施設や交通事業者の人手不足や受け入れ体制整備などの課題が示され、インバウンド対応に向けたテキスト作成の取り組みの報告があった。
通訳ガイドの現状を報告した株式会社奄美国際ネットワークの杉岡秋美代表取締役は「観光の前に自然の保全と維持が必要。世界自然遺産に求められるのは、持続的観光に基づいたブランドづくりだ」と述べた。
同協会側からは、クルーズ船について、経済波及効果の高いラグジュアリー船の誘致の提案があり、「奄美らしい自然体験を組み込んだ高い商品をつくり、船会社に売り込むべき」とのアドバイスがあった。観光消費の拡大に向けて「民間や学生と連携して若者向けの商品開発をすべき」という助言もあった。