相談しやすい環境づくりを えらぶ共育シンポジウム 沖永良部島

2024年01月28日

地域

沖永良部島での子育て支援の在り方を討論したシンポジウム=27日、和泊町

子どもの発達特性に応じた包括的支援を考える「えらぶ共育シンポジウム」(心音主催)は27日、和泊町立和泊中学校のあかね文化ホールであった。島内外の専門職らが子どもの保護者代表を交えて討論。「本人の心配事、困り事を解消する手段を考えられる支援を」「力を抜いて相談するのは悪い事ではない」などと、子どもとその保護者の立場に立った支援の在り方や、相談しやすい環境づくり、関係機関の連携の重要性などを訴えた。

 

初めに、志學館大学大学院心理臨床学研究科教授の山喜高秀氏が「子どもと家族を支えるために~今求められる包括支援」と題して基調講演。子育ての難しさについて普遍的な要因や現代社会の影響を挙げ、「人間には誰しも得手不得手があり、得意な人と一緒に育てればいい。子育てのハードルを下げ、〝ほどほど〟の子育て観がないと子どもは生きづらい」などと語った。

 

公開討論会は「離島での児童発達支援」がテーマ。山喜氏を座長に6人が登壇した。精神科医師、児童相談所技術主査など各専門職は、それぞれの立場から支援の在り方を解説。和泊町スクールソーシャルワーカーの外山千草さんは活動の中で感じている課題を挙げ、支援者の連携促進や保護者の安全安心な場づくりの必要性などを強調。「沖永良部島だからできる体制をつくる風を起こしていけたら」と力を込めた。

 

保護者代表の女性は子どもの不登校など子育てに悩んだ経験を語り、「子どもの現状を受け入れながら、自信を持って生きていく力を身に付けさせていくことが重要だと思う。そのために、家庭をはじめ、子どもを取り巻くすべての機関で共通理解、意識革命が必要。子どもたちは日々成長している。各機関がスピーディーに連携を取り合い、あすではなく、きょうから行動してほしい」と訴えた。